管理人のイエイリです。
BIM活用の第一人者でもある米建築家のキモン・オーヌマ氏と、ドーム型のプレハブ建物を使って被災地で仮設村を造ってきたレス・ハマサキ氏らによる“BIM版トモダチ作戦”こと、東日本大震災の復興支援計画が、さらに本格化してきました。
オーヌマ氏は自社のサイト上に、BIMによる計画の進ちょく状況がリアルタイムに確認できる「BIM ギャラリー」を設置し、
様々なファイルを公開
しています。
オーヌマ氏が運営するOnuma Systemsのサイト上に設けた「BIMギャラリー」で公開されている仮設村の計画(image: Courtesy of Kimon Onuma) |
建物にはそれぞれどんな機能を持たせるのかが記載してある(Image: Courtesy of Kimon Onuma) |
仮設村の建設地点については、東北工業大学工学部建築学科の許雷准教授が現地の情報から適地をアドバイスするなど、“日米共同作戦”の様相も呈しています。
さらに、ドーム型プレハブ建物の設計やコストも具体化してきました。2人が寝泊まりして生活できるように、ベッドや机などを2台ずつ設置したプランについてオーヌマ氏やハマサキ氏、そして建物メーカーのが検討しています。
ドーム型プレハブ建物の間取り計画(Images: Courtesy of Les Hamasaki) |
そのコストは、ナ、ナ、ナ、ナント、
1棟2万3951ドル
という低コストなのです。1ドル85円で計算すると203万5835円になります。
輸送や設置などの「その他費用」については、“アラアラ”な見積もりとのことです。グラウンドなどに設置する場合は、敷地造成費は不要になりそうですし、設置作業にボランティアの力を借りると設置費もなどももっと安くできそうですね。
ドーム型建物1棟分の建設費見積もり | |
20フィートドーム型建物 | $10,500 |
断熱キット | $2,500 |
建物小計 | $13,000 |
断熱材付き内装キット | $3,645 |
収納式ベッド(2台) | $1,100 |
コンポスト付きトイレ | $ 696 |
シャワー | $ 295 |
化粧台付き流し台 | $ 276 |
電気ヒーター(2台) | $ 149 |
照明と配線 | $ 190 |
机(2台) | $ 250 |
いす(2脚) | $ 150 |
内装小計 | $6,751 |
輸送 | $300 |
設置 | $300 |
敷地造成 | $800 |
ユーティリティー配管など | $800 |
設計費 | $1,500 |
諸経費 | $500 |
その他費用小計 | $4,200 |
合計額 | $23,951 |
そして、オーヌマ氏の取り組みは、さらに活発化してきました。自社サイトに「BIMStorm Japan」を行うという告知を出したのです。
BIMStormとは、BIMの手法で24時間や48時間といった短時間で課題の建物を設計する国際仮想コンペのことで、日本でも2009年から毎年、開催されている「Build Live Tokyo」の原型となったコンペです。
BIMStorm Japanのウェブサイト。4月12日現在は参加登録が行われており、詳細は後日発表されるという(Image: Kimon Onuma |
オーヌマ氏にメールでたずねてみたところ、被災地の建物に対するニーズと、世界のボランティア設計者、技術者を結びつける「マッチングシステム」も開発中とのこと。
2010年1月にハイチで発生した大地震のときも、オーヌマ氏は「Plan Haiti」という同様の試みを行しました。今回のBIMStorm Japanは、それをさらにパワーアップしたものになりそうです。
この試みは、BIMによる国際復興支援の原型となるのでしょうか。オーヌマ氏の動きからは目が離せません。