管理人のイエイリです。
建築設計のBIM活用は意匠設計から構造・設備設計、さらにはエネルギー解析や施工へと広がりつつあります。当然、業務で使うソフトもBIM対応の意匠設計用CADだけでなく、それぞれの業務に対応したBIMソフトが必要になります。
ところが、1本70万~80万円もするBIM用CAD以外に、高価なソフトが何本も必要になると、その投資の額に思わず導入をためらってしまうことも多いのではないでしょうか。
そこで、オートデスクは同社のBIMソフトを組み合わせたお得なセットを発売することになりました。「Autodesk Building Design Suite」というシリーズで、最高峰の「Ultimate」エディションは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
RevitからInventorまで
同社のBIMソフト一式が含まれているのです。
Autodesk Building Design Suiteシリーズに含まれるソフト。このほかAutoCADシリーズをベースにした「Standard」エディションがある(資料:オートデスク) |
気になるお値段は「Ultimate」エディションが153万3000 円(税込み)、「Premium」が99万7500円(同)、「Standard」が84万5250円(同)です。
Premium版の場合、別々にスタンドアローン版を買うと333万2700円(同)分のソフトが含まれていますので、割引率は実に70%になる計算です。各エディションの出荷日は7月1日です。
BIMソフトの中心となるRevitシリーズの最新版では、3Dレーザースキャナーで計測した「点群データ」を読み込んで設計に使える機能やエネルギー解析機能、傾斜配管の設計機能などが強化されました。
Ultimateエディションでは、様々なBIMモデルデータを統合して干渉チェックや施工シミュレーションが行える「Navisworks」や、BIM対応の機械設計用3次元CAD「Inventor」も含まれていますので、BIMモデルを施工管理やプレハブ部材の設計などに生かすなど、さらにプロジェクト下流側の活用がしやすくなりそうですね。
先週、米国・ニューオーリンズで開催されたアメリカ建築家協会(AIA)全米大会の会場で、米国オートデスクのAEC分野インダストリープログラム担当のエリン・ラエ・ホッファーさんは「BIMの導入範囲が広がってきたのに伴い、様々なソフトが必要になってきた。ソフトをまとめて提供することでBIMによる業務をスムーズに行えるようにしたい」と、Building Design Suiteシリーズの発売について語りました。
米国・ニューオーリンズで開催されたAIA全米大会の展示会に出展したオートデスクのブース(写真:家入龍太) |
Building Design Suiteシリーズの発売について語る米国オートデスクのAEC分野インダストリープログラム担当のエリン・ラエ・ホッファーさん(左)とBIMソフトのデモを行うブースの風景(写真:家入龍太) |
今回のBuilding Design Suite発売で、オートデスクは自社のBIMソフトを結集した総合的なソリューション戦略を強固に打ち出しました。
同社はさらに、ハードウェアもそのソリューションに取り入れようとしています。その一例は、ヒューレットパッカード社のワークステーションや
大判プリンター・複合機
との連携です。
Revitの画面からヒューレットパッカード社のサーバーにPDF化した図面をクリック一つでアップロードしたり、サーバーのPDF図面をインターネットにつながった同社の大判プリンターや大判複合機からオリジナルの図面と全く同じイメージでプリントアウトしたりすることができるものです。
AIAのオートデスク社ブースに展示されていたヒューレットパッカード社のモバイルワークステーションや大判複合機(写真:家入龍太) |
このようなソフト、ハードをシームレスに統合したソリューションをどこまで使いこなして、設計や施工の業務効率を高めていけるかが、これからのBIM活用のポイントになるのでしょうか。