「建設でもトップを目指す」!ダッソー・システムズのBIM戦略
2011年6月8日

管理人のイエイリです。

先日の記事で、ダッソー・システムズが無料の2次元CAD「DraftSight」を無料公開したことをお伝えしました。

そこで、ダッソー・システムズの建築・建設業界グローバルマーケティングの森脇明夫さんに、DraftSight公開の狙いについて直撃インタビューを試みました。

このCADは、DWG形式のバージョンであるR12からR2010までの読み込み、書き込みに対応した「マルチDWG」、WindowsだけでなくMacOSやLinuxにも対応した「マルチOS」、日本語を含め各国語版に対応した「マルチランゲージ」という<「3つのマルチ」がコンセプトになっています。

「特に建設業では、設計から施工まで数年間かかるプロジェクトがあったり、多数の関係会社が参加したり、今後は海外プロジェクトが多くなることが予想されたりと、様々なバージョンのDWG、OS、言語を超えて図面を扱う必要があるため、3つのマルチが有効に機能するでしょう」と森脇さんは語ります。

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DraftSightの「3つのマルチ」ついて語るダッソー・システムズ建築・建設業界グローバルマーケティングの森脇明夫さん(写真:家入龍太)

DraftSightは昨年6月にベータ版の配布が始まり、現在までに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

100万本以上

 

がダウンロードされたとのことです。そのうち、MAC版が約8万本、Linux版は約3万6000本とのことです(今年5月現在)。

サポートがいらない場合には、業務でも無料版を使って構いませんが、企業向けにサポート付きのバージョンである「Premium Pack」を1本5万円で用意しています。

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DraftSightの画面

これだけの機能を持ったCADソフトを無料で提供した狙いについて、森脇さんは「限られた予算をBIM対応のDigital Projectなどの3次元設計ソフトに投資してほしいから」と、語ります。

Digital Projectは、ゲーリー・テクノロジー社がCATIAをモデリング用コア・エンジンとしてBIM用に開発したソフトです。ダッソー・システムズは5月12日、ゲーリー・テクノロジー社とパートナーシップ契約を締結し、Digital Projectをダッソー・システムズの販売チャンネルで提供していくことを発表しました。

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ダッソー・システムズの製品ポートフォリオに加わったBIMソフト「Digital Project」の画面

これまで建設業界にはあまりなじみのなかったダッソー・システムズですが、今後は数年間で企画、基本設計、詳細設計、施工、そして維持管理と、BIMのソリューションを充実させていく計画です。

同社の製造業向け3次元CAD「CATIA」は、自動車や飛行機、船舶などの製造業分野では圧倒的なシェアを誇っています。「25年前は製造業でもシェアはほとんどゼロでした。それが今はこれだけ普及したのです。

 

建設分野でもトップ

 

を狙います」と、森脇さんは力強く抱負を語りました。

Digital Projectは現在、日本語版の開発が進んでいます。大規模なプロジェクトでも意匠、構造、設備を一体化して扱えるパワーが売り物のこのソフトは、トヨタ生産方式に代表される無駄のない設計・施工手法を建設業に持ち込み、「リーン・コンストラクション(Lean Construction)」という新しいトレンドを作るかもしれませんね。

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