発注者にもBIMを!企画や維持管理をテーマに2つのセミナー開催
2011年6月20日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用は、設計事務所や建設会社だけでなく、発注者や施主にまで広がりつつあります。

最近のビル工事では、入札条件にBIMの使用を盛り込んだ案件が増えてきたほか、FM(ファシリティマネジメント)を含んだ提案が求められることもあります。

そこでオートデスクは6月17日に東京・六本木でユーザーイベント「建物の企画段階で決まるビル経営戦略セミナー」を開催しました。

受講対象は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ビルディングオーナー

 

だったのです。

設計者でも、まだ「BIM」という言葉を知らない人は多い中、ビルオーナーを対象にしたBIMのイベントは、非常に珍しいのではないでしょうか。会場は“補助いす”が設けられるほど、超満員でした。

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6月17日、東京・六本木で開催された発注者向けBIMイベント「建物の企画段階で決まるビル経営戦略セミナー」の会場(写真:家入龍太。以下同じ)

講演はまず、オートデスクの近藤伸一さんによる「BIM(Building Information Modeling)の概要について」から始まりました。

その後、東京都市大学教授の岩村和夫先生は「BIMを用いた建物環境性能評価」で、建物の環境性能指標「CASBEE」の評価をBIMモデルを使って効率化する手法を紹介。

サトウ ファシリティーズ コンサルタンツ代表取締役の佐藤隆良さんは「国内外の事例から知る建物コストマネジメント手法」で「設計作業が2割進んだ段階で、建物のコストは8割決まる。その後、建物のコストはそれほど大きく変わらない」として、BIMで作成した計画代替案とコストシミュレーションを連動させ、早期の段階にコスト内訳を施主に示すことが重要と指摘しました。BIMを使うなら、坪単価で計画するのは時代遅れというわけですね。

続いて医療法人カメリア理事長の長岡和さんと、大成建設のシニアアーキテクト、下手彰さんが一緒に登壇し「BIMによる画期的コミュニケーションの向上について」というテーマで講演しました。

その後、安井建築設計事務所の中元三郎さんが「BIM(Building Information Modeling) & BIMt(Business Information Management)」で同社におけるBIM導入の歴史や、BIMの習熟カーブ、BIMによる数量集計精度などについて語りました。

最後にJM取締役常務執行役員の齋藤彰さんが「BIMによる施設のライフサイクルサポート(LBIM:ライフサイクルビム)の適用事例紹介」の中で「ライフサイクルで役に立つBIMなら発注者は採用する」と語り、講演を締めくくりました。

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講師の面々。(左上)オートデスクの近藤伸一さん、(右上)東京都市大学教授の岩村和夫先生、(左中)サトウ ファシリティーズ コンサルタンツ代表取締役の佐藤隆良さん、(右中)左から医療法人カメリア理事長の長岡和さんと大成建設のシニアアーキテクト、下手彰さん、(左下)安井建築設計事務所の中元三郎さん、(右下)JM取締役常務執行役員の齋藤彰さん

この日の夜、東京・箱崎で使用ソフトベンダーの枠を超えてBIMについて語り合う会「第2回 OPEN BIM cafe」が開かれました。

こちらも会場は30数人がつめかけ、超満員でした。ゲストスピーカーの大林組建築本部BIM推進室副部長の田村達一さんが「スマートBIMコンストラクションへの挑戦、“さらなる可能性を求めて”」と題して、東京スカイツリー建設にまつわる“ココだけの話”を、ユーモアたっぷりで紹介。会場は爆笑の輪に包まれました。

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大林組建築本部BIM推進室副部長の田村達一さん

続いて、エクストリーム代表取締役の高松稔一さんが、

 

BIM対応のFMソフト

 

ArchiFM13 日本語版」の紹介を行いました。

ArchiCADで作成した建物のモデルを読み込み、FMに活用できるものです。建物や設備のほか、備品や職員など、幅広い管理が可能です。「建物も管理項目の一つ」というユーザー視点に立ったFMソフトと言えそうですね。

また、8月22日にはArchiCADのFM用アドオンソフト「Helpdesk」が発売予定とのことです。ArchiCAD上で交換や注文すべきものをクリックすると、その発注情報がクラウドに送信され、供給者が素早く納品や修理などの手配ができるものです。

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「ArchiFM13 日本語版」や、8月22日発売の「Helpdesk」について説明するエクストリーム代表取締役の高松稔一さん

その後、国際航業により「フルHD対応3Dプロジェクター CF3D」の紹介とデモンストレーションが行われました。

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特殊メガネをかけて立体画像を鑑賞する参加者。怪しい雰囲気が漂っています(写真:OPEN BIM cafe)

発注者やビルオーナーがビルの建設や改築を計画するとき、最大の関心事は建物のコストにあると言っても過言ではありません。そして管理すべきものは建物や設備だけでなく、ビジネスを運営していくために必要なことすべてが対象となります。

これらの分野にBIMを導入し、新たなビジネスとして開拓していく場合、「いかに早い段階で、正確なコスト内訳を示せるか」、「建物以外にオーナーが必要とするものを管理できるか」といった、「顧客志向」が重要となりそうですね。

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