目指せ省エネ50%!鹿島KIビルでリニューアル実験
2011年7月19日

管理人のイエイリです。

大手ゼネコン各社では、既存ビルの改修による省エネに取り組んでいます。当コーナーでもピーク電力37%カットを目指した清水建設技術研究所や、ピーク電力半減を目指した竹中工務店東京本店などの取り組みを紹介してきました。

鹿島でもこの夏、既存ビルのリニューアルによるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化を目指した実験を行います。

東京・赤坂にある同社KIビル(1989年完成)の6階オフィスを半分(約500m2ずつ)に分け、片方に省エネリニューアルを行います。そして、運用した後、同階の既存オフィス部分に比べてどれだけ省エネが実現したかを比べるものです。

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KIビル6階の改修エリア(資料:鹿島。以下同じ)

その目標は

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

50%の省エネ実現

 

という果敢な取り組みなのです。

日立製作所の「スマート電力充放電制御」技術、オムロンの「人密度検知人感センサーによる空調・照明制御」技術、パナソニック電工の「LEDを用いた明るさ感演出照明」、そしてダイキン工業の「潜顕分離空調システム」を導入し、リニューアルを行います。

運用段階の検証には、千葉大学大学院工学研究科の川瀬貴晴教授の協力を仰ぎます。まさに“オールジャパン体制”によるチャレンジなのです。

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再生可能エネルギーのスマート電力充放電制御システム。太陽光発電を有効利用するために、リチウムイオンバッテリーと各種制御装置により最適な充放電制御を構築。昼間の節電を主としたピークカット効果を最大化する充放電制御モードの選択も可能

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人密度検知人感センサーを利用した、空調・照明制御システム。サーモパイルを用いた人密度検知人感センサーを設けて、その情報を利用した空調・照明の細分化制御を行う
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湿度調整分離デシカント空調機と対流促進型放射空調システム。汎用のビル用マルチエアコンと新開発のヒートポンプデシカントパッケージを最適配置することで潜顕分離空調システムを計画。またパンチング吹出による空気放射空調方式も開発する
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LED照明を利用した明るさ感演出照明システム。LED照明の特性である長寿命、制御性のよさを生かしながら、低照度環境下でも明るさ感を損なわないLED照明器具を開発、設置

太陽光発電装置の設置には、既存ビルの屋上に大きな荷重をかけないようにするため、軽量化設置架台を採用します。また、エネルギー情報を表示するインターフェイスをオフィス内に表示して、オフィスで働く人々に省エネ行動を呼びかけます。

また、支障の少ない範囲で照明や空調などの使用電力を自動的に絞る「デマンドレスポンス制御」の試行も予定しているとのことです。

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CO2の50%削減の内訳

これだけの対策をとっても、やはり暑い、寒いといった温熱感には個人差があります。そこで、スマートフォンを利用した

  

リアルタイムアンケート

 

を実施して、最適な環境を目指します。

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スマートフォンを利用したワークプレイスの最適化アプリ。タブレット端末を用いて、ワークプレイスのリアルタイムアンケートを行い、ワークプレイス環境の最適化につなげる

リニューアル工事は9日間の夏期休暇や、その直前の週末を利用しての「居ながら工事」方式で行います。その経験をもとに、施主の業務に支障がないように工事行う関係部署間の調整ノウハウも売り物にしようというわけですね。

なお、この計画は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「省エネルギー革新技術開発事業(電力需給緊急対策)」の実証研究に応募した結果、今年5月に採択されたものです。

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