3Dスキャナーで出来形管理!スノーシェルター断面を360°計測
2011年9月14日

管理人のイエイリです。

鉄道構造物の建設や維持管理で重要なのは、列車と構造物の接触事故を防止するため「建築限界」を確保することです。

そこで、三井住友建設は、鉄道などに設置されるRC(鉄筋コンクリート)スノーシェルターを対象に、精度の高い出来形管理や建築限界管理を行う「“円筒形構造物形状管理システム(3D-SYLIMAS)」を開発しました。

その特徴は、円筒形になっているスノーシェルターの内空断面を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3Dレーザースキャナー

 

で、360°ぐるりと計測し、点群データを可視化することです。

20110914-image1.jpg 20110914-image2.jpg

RCスノーシェルターの外観(左)と計測した内空断面の点群データ(右)(写真、資料:三井住友建設。以下同じ)

 

20110914-image7.jpg 20110914-image8.jpg

計測に使用する3Dレーザースキャナー(左)とレーザー計測の状況(右)

作業手順はまず、点群データを公共座標系とリンクさせながら、隣り合う点群データを合成するため、基準点測量と点群合成の目印となる「ターゲット」の測量を行います。

次に3Dレーザースキャナーにある計測を行い、最後にシェルターの設計データと実測した点群データを重ね合わせます。

このシステムの特徴は、短時間で中空断面の形状を高精度で計測でき、構造物の設計値や建築限界と現況データを比較できることです。

建設直後の点群データを計測しておけば、構造物供用後の経時変化も把握できます。また、公共座標系で計測するので、従来の計測管理との比較も簡単です。

20110914-image9.gif

設計データと実測データの比較手順

20110914-image6.gif 20110914-image4.gif
建築限界との比較 断面図の表示
20110914-image3.gif 20110914-image5.gif
コンター図の表示 測定値の一覧表示

このシステムは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構発注の北陸新幹線 上越・糸魚川地区(PCけた)工事におけるRCスノーシェルター付きPC下路桁の出来形管理に使われ、無事、目的を達成したそうです。

ところで、RCスノーシェルター付きPC下路桁とは、一体、どんな構造物なのでしょうか。三井住友建設のウェブサイトを調べてみると、「PC設計NEWS No.137」に詳しい説明が載っていました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

トンネルと橋が合体

 

したような珍しい構造物なのです。

トンネルのように桁の断面をぐるりと閉合することにより、矩形の箱桁に生じやすい応力集中を防げるほか、景観性にも優れているとのことです。

20110914-image9.jpg

RCスノーシェルター付きPC下路桁の施工手順(写真:三井住友建設「PC設計NEWS No.137」より)

三井住友建設では、これまでも「トンネル覆工巻き厚管理システム」や「城郭石垣修復トータルシステム」など3Dレーザースキャナーを使った形状計測システムを開発していおり、今回のスノーシェルター用システムの開発でラインアップがさらに充実しました。

いよいよ、土木構造物でも3D設計、計測システムを使った施工管理や維持管理が本格化していきそうですね。

(Visited 3 times, 1 visits today)

Translate »