経費を6割カット!竹中工務店が開発した配筋検査システム
2011年9月5日

管理人のイエイリです。

ビルの躯体工事では、鉄筋が図面通り配筋されているかのチェックや写真撮影、記録の整理に膨大な労力がかかっています。

配筋の検査には、これまで伏図や柱・梁の断面リストなどの図面類や検査野帳、黒板、マグネット、デジタルカメラやIT機器など、重装備で現場内を移動する必要がありました。

そこで竹中工務店東京本店は、配筋検査や記録業務を効率化するシステムを開発しました。検査に必要な図面付き検査野帳の作成と、現場で撮影した写真の整理を大幅に効率化した結果、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

経費を6割削減

 

することに成功したのです。これまでの手作業では4~5人かかっていたのが、システムの開発により1人で済むようになったそうです。

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システムで作成した検査野帳(左)と写真管理帳票(資料:竹中工務店)

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開発に携わった竹中工務店東京本店技術部主任生産担当の室井俊彦さん(左)とFM本部企画管理グループ課長代理の高瀬優さん(写真:家入龍太)

このシステムは、AutoCADやExcelなどを連携させることにより、これまで手作業で行っていた伏図や断面リストの切り出しやレイアウト、写真と検査野帳とのひも付けなどを、半自動化するものです。

まずは、AutoCADで検査野帳に必要な図面の範囲を伏図上で指定し、WMF形式(Windows Meta File)で書き出します。同時に検査個所のひも付けに必要となる通り芯の位置情報や柱・梁などの部材符号も数値で取り出します。

同様に断面リストもWMF形式で書き出します。

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伏図(左)と断面リスト(右)から検査野帳作成に必要な図面をWMF形式で書き出す(資料:竹中工務店。以下同じ)

次にExcel上にWMF形式の断面リストを読み込み、分解します。このとき、VBAマクロを使って断面図の縦横の枠を自動認識するとともに、表の端にある項目なども拾ってきて、必要な情報をまとめます。

さらに、部材符号と断面図のひも付けもExcelによって自動的に行います。

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ExcelのVBAマクロで断面リストの枠線(左)を自動認識して分解、部材情報とひも付けする(右)

最後に、分解した図をレイアウトして、検査野帳を作りますが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

PowerPointのマクロ

 

を使って、中央に伏図、周辺に断面リストを自動的にレイアウトするのです。

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PowerPointのマクロを使って自動作成した検査野帳

皆さん、PowerPointはおなじみのソフトですが、マクロを使ったことのある人はどれほどいるでしょうか。PowerPointにマクロがあること自体を知らない人も多いでしょうね。

さらに、検査野帳は断面リストを「QRコード」化したバージョンも作ることができます。この場合、野帳のQRコードをリコーの工事現場用デジタルカメラ「G700」で読み取ることができます(MODE1)。また断面リストがデジカメに読み込んである場合は、従来通りのボタン操作で液晶画面に断面リストが表示されます(MODE2)。

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断面図をQRコード化した検査野帳(左)とG700の液晶画面に表示された断面リスト(右)

AutoCAD、Excel、PowerPointといったおなじみのソフトに、デジカメまで連動させるとは。VBAを駆使した連携システムには恐れ入りました!

(訂正)
当初、QRコードの読み取りと同時に液晶画面が表示されると記載しておりましたが、両者は別々のモードでの機能でしたので修正しました。

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