拡張現実も登場!BIM仮想コンペ「BLK」参加チームを回ってみた
2011年9月12日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って短時間で課題の建物や施設を設計するインターネット上の仮想コンペ「Build Live Kobe 2011」(主催:IAI日本)が、9月7日の18時から9日の18時までの48時間(学生クラスは11日18時までの96時間)にわたって開催されました。

「建築界のF1レース」とも言えるイベントだけあって、実務ではまだ導入していないような設計の新手法が試験的に導入されることも多々あります。

今回は、兵庫県の神戸ポートアイランドを舞台に、国際研究センターやデータセンター、アスレチックジムなどからなる大規模な複合施設、「国際交流センター」を設計するのが課題でした。

今回は、いったい、どんな戦いになるのかを探るため、社会人を対象とした実務クラスに参加しているチームのいくつかに

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

突撃取材を敢行

 

したのなのです。その模様をお伝えしましょう。

まず、向かったのは、東京・四谷の新菱冷熱工業のチーム・タスマニアです。さすが、設備工事の大手だけあって、お題にあるデータセンターからの低温排熱や地域冷暖房システムを活用した省エネなどは、最先端の検討が行われていました。

なかでも圧巻なのは、サーバーのラックを90度倒した状態で設置し、冷却用の風が下から上に吹き抜けるようにして効率を高めるというアイデアでした。BLKならではの発想と言えるでしょう。全社で40人ほどが参加していましたが、7~8割が前回は参加していなかった人とのことです。2回目の参加とあって、余裕も感じられました。

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新菱冷熱工業のチーム・タスマニア(写真:家入龍太。以下同じ)

次に向かったのは、ビム・アーキテクツの山際東さんをチーフアーキテクトとするチーム・PLAN-Bです。本部には7~8人と一匹が詰めていました。

ここで、“建築界のF1”らしいシステムを発見しました。それは拡張堅実感(AR)システムによるプレゼンテーションでした。WEBカメラの前に「忍」と書かれた小型のうちわのようなターゲットを差し出すと、パソコンの画面上にはターゲットの上に建物の3Dモデルが載ったように映し出させるのです。

ターゲットを移動、回転させると建物のモデルもそれに追従して動きます。まるで模型を見ているような面白さでした。

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チーム・PLAN-BのARシステムによるプレゼン

続いて向かったのは、前田建設工業のチーム・スカンクワークスです。毎回、参加している同チームは、3Dプリンターや3Dプロジェクターなど新しいシステムを積極的に導入してきました。今回も手慣れた様子で、これらのシステムを使いこなしていました。

約40人からなるメンバーの中には、去年のBuild Live Tokyo 2010の学生クラスに芝浦工業大学のチーム・コーヒータイムのメンバーとして参加した瀧田亮輔君の姿もありました。

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前田建設工業のチーム・スカンクワークスでは、3Dプロジェクターや3Dプリンターを使いこなしながら設計を進めていた。前回、芝浦工業大学のチームで参加した瀧田亮輔君は今回、実務クラスに出場

その後、大阪に移動してたずねたのは、大林組のチーム・ORENGE ARKです。前回優勝時には東京のオフィスだけで参加していました。今回、大阪のメンバーは全員新人で、東京のメンバーとテレビ会議システムで連絡しながら参加していました。

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大林組のチーム・ORENGE ARK

続いて、関西におけるBIMの普及を目指して設立された団体、「BIM LABO」のメンバーを中心としたチーム・BIM LABOです。意匠設計チームの部屋と、構造・解析チームの部屋に分かれて作業していました。

スケジュールは0時から9時まで“空欄”になっており、無理をせず、楽しみながら参加しようという雰囲気も感じられました。このチームも3DプリンターやARを活用しており、地の利を生かして

  

建設予定地でのAR実験

 

も行いました。

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チーム・BIM LABOの意匠設計チーム(左)と構造・解析チーム(右)
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CFDによる風解析結果(左)と0時~9時が空欄になったスケジュール表(右)

最後に、コンパス建築工房のチーム・COMPASを訪問しました。去年まではJw_cadを使っており、今年1月にBIMソフト「GLOOBE」を導入したばかりですが、アットホームな雰囲気の中で作業が進んでいました。

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コンパス建築工房のチーム・COMPAS

このほか、実務クラスではフジタのチーム・FKB48、東北工業大学のチーム・BIXも参加しています。各チームが作成してBLK事務局のサーバーにアップしたBIMモデルデータなどは、下記サイトから見学者として申し込むことでオンラインでダウンロードして見られますので、まだの方もどうぞ!(見学者申し込みサイト:http://www.building-smart.jp/event/event_index.php

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