管理人のイエイリです。
建設業における死亡災害で最も多いのが墜落で全体の約4割を占めています。このほか建設機械や自動車など車両関係が合計3割弱、飛来落下や倒壊がそれぞれ1割弱です。(建設業労働災害防止協会のデータ)
事故を未然に防ぐためには、現場での安全ルールの無視や不安全行動によって、次に何が起こるのかをリアルに予測できなければいけません。
そこで、鹿島の東京建築支店は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
事故発生の過程とその瞬間
をCGで再現し、現場や協力会社の安全教育に使っているのです。
CGで再現した事故災害のシーン(資料:鹿島) |
YouTubeにアップされているサンプル動画(資料:労働新聞社)
このCGが本日(9/2)、安全教育の教材として労働新聞社から発売されることになりました。「CGでリアルに再現『事故・災害事例集』安全の見える化動画」というもので、DVD5枚(合計65分)と小冊子(92ページ)からなっています。価格は2万5000円(税込み)です。
いろいろな現場で発生しやすい事故を集めた「共通編」のほか、基礎工事での思わぬ災害を集めた「基礎編」、そして墜落などの危険が多い「躯体編」、高所作業車の転倒や有機溶剤による中毒もある「仕上編」、そして感電やエレベーター試運転の事故などが多い「設備編」の5編に分かれています。
建設現場の事故・災害事例をまとめたDVD集「CGでリアルに再現『事故・災害事例集』安全の見える化動画」(資料:労働新聞社) |
具体的には、「場内を片付け中にダメ穴から墜落」といった典型的な事故から、安全メガネを付けなかったため「サンダー作業中に切りくずが目に刺さる」といった恐ろしい話、「安全靴使用でも釘を踏み抜く」といった意外な話、そして「ユニック車がブームを伸ばしたまま走行」といった、誰もがそれぞれ、結末を想像できそうな話などが含まれています。
CGでリアルに再現!「事故・災害事例集」の内容
「共通編」 | 「基礎編」 |
|
・用途外使用のテレスコに手を挟まれる ・重機作業中、敷鉄板に足を挟まれる ・重機の回転半径内に入り接触 ・軟弱な地盤での作業で揚重機転倒 ・逆打ち工事で型枠が落下 ・梯子を踏み外して転落 ・アースオーガーから土砂が落下 ・重機組立中にスパナが落下 ・溝掘り中、埋設配管が損傷し水が噴出 ・重機油圧ホース切断でオイルが飛散 |
「躯体編」 | 「仕上編」 |
・場内を片付け中にダメ穴から墜落 ・施工中の床端部から墜落 ・足場組立て中に墜落 ・足場解体中に手渡し材が落下 ・外部足場で工具を落とし歩道へ落下 ・床配筋につまずいて転倒 ・地組鉄筋が中抜けして落下 ・ホリービームに集中荷重で型枠倒壊 ・ビット内での作業中、酸欠に ・安全靴使用でも釘などを踏抜く ・鋼材を吊り上げ中にロックが外れ落下 ・トラックからの荷取り時に鉄骨が荷崩れ ・鉄骨仮置き時、クランプが引っ掛かり転倒 ・強風でデッキが風散 ・溶接火花が落ち歩行者に当たる ・溶断火花がスチロールに引火し火災 ・改修工事で溶断火花が天井に引火 |
・立ち馬や脚立からの転落・転倒 ・セーフティーベースをたたむ時に指を挟む ・梯子の不適正な使用で転倒 ・高所作業車が移動中に段差で転倒 ・高所作業車での上昇時に手を挟まれる ・台車がスロープで暴走して被災 ・ハンドパレット移動時に荷が崩れる ・モルタルミキサーに手を巻き込まれる ・ピット内の有機溶剤作業で中毒 ・換気せず一酸化炭素中毒に |
「設備編」 | |
・配電盤運搬時に支えきれず転倒 ・高圧盤端子に触れアーク放電火傷 ・天井内の活線に触れて感電 ・天井ボード切断中、LANケーブルを切る ・配管水圧テスト中にピースが顔面直撃 ・エレベーター試運転中、足に錘が激突 ・エレベーターピットを清掃中に、カゴが降りてきて激突 ・エレベーターレール取付中にアンカーが抜け落下 |
この教材の目的は、ヒューマンエラーによる「繰り返し型災害」の軽減です。事故の発生過程をCGアニメーションと効果音でリアルに再現することで、視聴者に
災害の恐怖
を体験してもらうことで、安全対策の必要性を強く訴えかける内容になっています。
ベテランの技術者や作業員は、「ヒヤリ・ハット」集や現場で発生した過去の事故事例などから、安全を見る目を養ってきたことと思いますが、この教材はその集大成とも言えるものです。
このDVD集は、今年、鹿島の現場や協力会社などに約3000本が配布され、大きな成果を上げているそうです。短時間で多くの事例が視覚的に学べるので、事故防止の効果は大きそうですね。