管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の仮想コンペに参加した大林組は、昨年の「Build Live Tokyo 2010」で最優秀賞、今年の「Build Live Kobe 2011」で特別賞を受賞するなど、BIM界で実力を見せつけています。
昨年のBuild Live Tokyo 2010(左)、今年のBuild Live Kobe 2011(右)に参加した大林組のチーム(写真:家入龍太) |
大林組はBIMの実力を海外プロジェクトでも発揮し始めました。このほど、“BIMの先進国”と言われるシンガポールで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
工場施設の新築工事を受注
したのです。
同社のプレスリリースでは発注者名は明らかにはされていませんが、「米国の大手オイルフィールドサービス会社」とのこと。
作業所棟と付属事務所棟からなる建物の規模は、敷地面積約17万5000m2、建築面積約4万m2、延床面積約5万1000m2(うち事務所棟1万2000m2)にも上ります。請負金額は約77億円とのこと。
工場施設の外観パース(資料:大林組。以下、同じ) |
BIMで作成した内観パース |
海外企業から工事を受注できたのはBIMの活用によるところが大きかったようです。設計者である米国の大手設計事務所、ゲンスラー社(GENSLER。本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)などと、BIMをプラットフォームにして円滑な情報伝達と連携を行い、
効率的な施工計画を提示
できたことが大きく評価されたようです。
海外プロジェクトでは、設計が終わった部分から順に工事を始める「ファーストトラック」や、契約前の計画初期段階から施工性や工期、コストなどをアドバイスする「プレコンストラクションサービス」といった海外特有の契約形態があります。
今回、大林組はプレコンストラクションサービスにBIMを活用し、施主の要求に的確、スピーディーに応えることができたそうです。
大林組はBuild Live Kobe 2011で、「Vico Office」という外国製のソフトを施工計画や見積もり・積算に使っていたようです。今回の受注との関係は不明ですが、海外で使われているBIMソフトによってデータを提供することで、いちいち紙の資料と言葉で説明しなくてもすぐに相手に理解してもらえるといった効果が期待できそうですね。
今回の事例を基に、大林組は海外の事業展開でもBIMを積極的に生かしていくとのこと。今後、日本の建設業が海外プロジェクトに進出していく際、BIMは海外の関連企業とのコミュニケーションツールとして欠かせない存在になりそうです。そして、海外工事での利益も、しっかりと確保していきたいですね。