管理人のイエイリです。
人があまりいないのにオフィス全体に照明がともり、人がいない空間まで空調している光景は、よく見かけますね。
日本のビルは海外に比べて省エネ性能が高いと言われていますが、こんな光景を見るとまだまだ省エネできる余地はありそうです。
NECはこのほど、オフィス内の人物の位置を高精度に推定するシステムを開発しました。これをビル管理システムと連係させて、人がいない席付近の照明を消灯したり、パソコンの電源を切ったり、空調を弱めたりした結果、
ナ、ナ、ナ、ナント、
約25%の電力消費量を削減
することに成功しました。NEC本社ビルのオフィスで社員70人を対象に行った実験の結果です。
消費電力の削減効果。従来に比べて人が少ない早朝や午後、夕方の消費電力が減っていることが分かる(資料:NEC。以下同じ) |
着席者が多く、動きが少ないオフィスで人の動きを分析するのは、工夫が必要です。従来は特殊なカメラを使って人の動きの「差分」を測定していました。
今回、開発したシステムでは普通の監視カメラを複数設置して高精度に人の位置を把握する方法を採用しました。その位置情報と、人にRFID(ICタグ)を携帯させてその受信情報や座席情報と関連付けることで、オフィス内にいる人数や人の位置、そしてその属性情報(IDなど)をリアルタイムに把握できるようにしました。
これらの情報を使って、社員が一定時間離席したときは自動的に周辺の照明を消灯し、オフィスを複数のエリアに区切ってエリア内の人数が減ったときには連続運転から間欠運転に変更しました。
さらに各社員のパソコンも一定時間離席すれば省エネモードに切り替わり、さらに離席が続いた場合には電源オフにするようにしました。
監視カメラによる位置計測にRFIDの情報を組み合わせ、人の動きをリアルタイムに把握できる |
異なるメーカーのセンサーや様々なアプリケーションを組み合わせて省エネ制御を行うため、センサーのデータ解析エンジンとアプリケーション間のデータ通信に関するインターフェース仕様も開発しました。
そしてNEC、NTT、富士通の3社は、WEB技術の標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)で、
国際的な標準化活動
を開始しました。
日本は省エネ大国です。建設業界はBIMを使ってエネルギー解析を行って環境性能の高い建物を設計・施工し、空調・照明機器メーカーは高効率な製品を続々と開発し、ITベンダーは効率的なエネルギー管理と運用を自動化するシステムを開発し、さらに国際標準として提案しています。
建設業は、これら各業界の省エネ技術を統合的に活用し、ソリューションとして展開できる立場にあるとも言えます。今後の国際展開で、各国に売り込む“新製品”になるかもしれません。