管理人のイエイリです。
商用電力に太陽光発電や蓄電池を組み合わせ、「省エネ、創エネ、蓄エネ」によってピーク時の商用電力を削減する住宅が住宅メーカー各社から発売されています。
東京・清瀬市にある大林組技術研究所では、これと同様のシステムを研究所全体に拡張した「マイクログリッドシステム」を昨年9月に構築しました。
マイクログリッドシステムは、昨年9月に完成した「本館テクノステーション」に設置した太陽光発電システム(150kW)や小型風力発電システム、コージェネレーションシステム(25kW×2台)、リチウムイオン電池で構成されています。
これらの電力を研究所内にある実験施設の回生電力設備や商用電力などと組み合わせて、研究所敷地内の施設間で融通しあう仕組みです。
同社はこのほど、導入後1年間の電力データを検証しました。その結果、今年7月、8月における電力使用量は
ナ、ナ、ナ、ナント、
昨年比で37.7%も削減
できたことが分かったのです。ちなみに、同社の常設事業所全体での削減率は31.4%で、目標とした25%を上回る結果を出しました。
大林組技術研究所に構築されたマイクログリッドシステムの概念図(資料:大林組) |
本館テクノステーションでは、7月、8月の平日13時~14時の間、消費電力のうち約25%~100%を自然エネルギーなどによる発電と蓄電池の放電でまかないました。つまり、真夏の最も暑い時間帯に、商用電力を全く使わないときもあったわけですね。
そして、この期間全体の電力使用量のうち、30%以上を自然エネルギーなどによる発電でまかない、商用電力の使用量を大幅に削減しました。
電力の制御はBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)によって行い、電力量監視データを「見える化」して、研究所内の利用者に省エネ運用状況を公開。エコ意識を促しました。
これらのデータは、遠隔BEMSにより研究所外からも運用状況の監視ができるようになっています。ほかの事業所からも見られているという意識があると、さらに省エネに励みたくなりそうですね。
マイクログリッドシステムは、省エネや電力のピークカット以外にも効果を発揮します。それは、停電対策です。
停電時にはコージェネレーションシステムを稼働させ、太陽光発電とともに非常用設備に電力供給できることを
停電試験によって確認
したそうです。
震災や落雷などで停電が発生したときのBCP(Business Continuity Plan)にも活用できますね。