調査時間8分の1!「ヒビダス」でコンクリートのはく離を発見
2011年12月27日

管理人のイエイリです。

高度経済成長期に作られたインフラ施設は更新時期を迎え、劣化状態を正確に見極める必要があります。

特にコンクリートの劣化診断は、以前から目視や打音によって行われており、調査員のスキルによって診断結果がばらついたり、構造物が高い場合には足場の設置が必要だったりと、非効率でした。

そこで、清水建設保全工学研究所倉敷紡績と共同で、コンクリートの浮きやはく離、ひび割れなどを高精度で効率よく判定できる非接触型の調査診断システム「HIVIDAS(ヒビダス)」を開発しました。

特徴は、調査・診断の作業効率が大幅にアップすることです。足場や打音調査がいらないので、高さ8m程度のコンクリート壁を診断する場合、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

調査時間は8分の1

 

程度で済むというのです。

 20111227-image1.jpg

非接触型調査診断システム「HIVIDAS(ヒビダス)」(写真:清水建設)

システムは「可視画像」を撮影する高解像度のデジタルカメラと、「熱画像」を撮影する高感度の赤外線カメラ、そして両方のカメラを同期撮影させるコントロールボックス、そしてノートパソコンで構成されています。

調査員が肉眼で確認できるひび割れや鉄筋の露出、遊離石灰などの変状は可視画像で判定し、目視では分からない浮きやはく離は熱画像で判定します。

浮きやはく離のある部分は、コンクリートの裏側に空気層があるため、周囲と温度が違います。この温度差を熱画像でとらえることにより、表面からは分かりにくい変状を見逃しません。

両画像から効率よく解析・診断して劣化状況を一枚の図面にまとめるため、同じ画角で撮影した可視画像と熱画像をピッタリと合わせる「重畳処理」を行っています。

装置は小さなパーツに分かれているので、

 

人力で現場に搬入

 

し組み立てることができます。装置全体も台車の上にまとめられているため、現地調査時に手軽に移動できます。

調査員のスキルに頼らずに画像解析から高精度な診断を行えるほか、過去の診断結果を電子データで保存し、経年変化を分析することである期間に生じたひび割れを発見することも可能です。維持管理作業を効率的になりますね。

清水建設はシステム構成の立案、実証試験などの開発プロジェクトのコーディネートを行い、保全工学研究所は撮影用装置や撮影方法の開発、架台の製作、倉敷紡績は解析ソフトの作成を担当しました。

これまで地下鉄シールドの二次覆工やタンクの防液堤、護岸などで実証実験を行い、調査精度を確認しました。今後は建物の外壁タイルの診断にもHIVIDASを適用できるよう、検討を進めていく予定です。

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