維持管理にも使える!竹中、免震装置の遠隔監視システムを開発
2011年12月1日

管理人のイエイリです。

免震構造の建物はいまや珍しくなくなりつつありますが、その施工には結構な手間ひまがかかっています。

地震時に免震効果をきちんと発揮させるためには、施工中に発生する建物躯体の乾燥収縮や温度ひずみ、施工時の荷重が免震装置の変形に及ぼす影響をリアルタイムに監視する必要があります。

免震工事の施工中、施工管理のために担当者が2~3回、免震装置が設置されている層に立ち入り、計測機器で免震装置の変形を測定するのですが、狭い場所での計測は多大な労力を要していました。

そこで、竹中工務店は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

免震装置の変形と温度

 

を継続的に遠隔監視する「竹中免震モニタリングシステム」を開発したのです。

 20111201-image1.jpg

「竹中免震モニタリングシステム」のイメージ図(写真:竹中工務店。以下、同じ)

免震装置の水平変形や鉛直高さ、免震層の温度を計測センサーで1時間に1回程度、自動計測し、その計測データを無線で収集。離れた場所にある事務所などのパソコンに一括送信する仕組みです。

施工中に発生した装置の変形や温度変化の継続データを蓄積することにより、施工時の荷重や温度変動が装置変形に及ぼす影響を定量的に分析できるというメリットもあります。

パソコンの画面上では専用のソフトウエアでデータを確認できるほか、万一、計測データが管理値を超えた場合には、アラーム表示で知らせてくれます。無線通信には、日立製作所の「日立AirSenseⅡ」を採用しました。

現在、特許申請中で2011年2月に竣工した武田薬品工業湘南研究所の工事で初めて導入しました。

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武田薬品工業 湘南研究所の建物外観(左)とシステム設置状況(右)

竹中工務店は業界トップクラスの免震施工実績がありり、さらに施工精度を向上させるために、このシステムを開発しました。

また、施工中だけでなく、

  

竣工後も維持管理用ツール

 

として運用できます。

免震建物を建てるのに、こんな施工管理が必要とは知りませんでした。見えにくい免震装置の情報までしっかりと定量化することで、さらに安全・安心な建物が実現できそうですね。

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