専門家がリモート点検!岐阜大と富士通が道路の維持管理を効率化
2012年1月18日

管理人のイエイリです。

今後、日本の建設投資の中で、維持管理が占める割合はどんどん大きくなっていきます。しかし、予算も増えることは期待しにくいので、いかに効率よく、維持管理を行えるかが、既設構造物を適切にメンテナンスするために重要です。

そこで、岐阜大学と富士通は、岐阜県の協力を得て、橋梁や道路の効率的な管理と維持管理を実現するため、「道路ネットワーク維持管理支援サービス」の実証を昨日(1/17)から今年の3月31まで行っています。

これまでの維持管理作業は、構造物に詳しい専門家自身が現地に出掛け、実物を自分の目で見て状態をチェックするのが一般的でした。ところが、最近はインターネットの普及により、高品質の写真や動画の伝送や共有が行いやすくなったため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

現地撮影と点検作業を分離

 

することが可能になったのです。

つまり、時間的に余裕のある人がハイビジョンのビデオカメラをもって現地に出掛けて橋や道路などを撮影し、その映像をデータベースにアップロード。その映像を別の場所にいる専門家が見て点検し、損傷個所などをチェックする、という分業によって点検作業の効率化を図るのです。

オフィスの会議でも、以前は支店から本社に出張して一堂に集まっていましたが、最近はテレビ会議システムの普及で「移動」することが減ったのと同じような現象が、維持管理の現場でも起こっているわけですね。

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道路ネットワーク維持管理支援サービスの概要(資料:岐阜大学、富士通)

今回の実証は、「点検支援サービス」と「維持管理支援サービス」からなっています。岐阜大学は橋梁や道路の損傷状況の分析などを担当し、専門家による多角的な研究能力と学術資源、人的資源を提供します。一方、富士通は橋梁点検システム「SuperCALS橋梁点検支援」など、装置や情報収集、登録、分析支援技術などサービス環境を提供します。

点検支援サービスでは、橋梁や道路の損傷状況を、橋梁点検システムで収集した各種情報のほか、自動車に搭載したデジタルタコグラフから抽出する位置、速度、揺れなどの情報、ドライブレコーダーから抽出する画像情報などを活用。損傷情報の分析、補修必要個所の特定、予測精度向上などの実証を行います。

また、維持管理支援サービスでは、点検結果に基づき、道路ネットワークのより効率的な維持管理計画を作成する支援を行い、有効性や利便性、網羅性について検証します。

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「SuperCALS 橋梁点検システム」の概要(資料:富士通)

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富士通の先端映像技術でハイビジョン映像の改ざん防止と補正を行っている(資料:富士通)

現地撮影と点検を分離することで、どのくらいコスト削減が図れるのでしょうか。富士通の資料によると、担当職員が自分で現地に行って点検する場合は1橋当たり31.0時間かかるのに対し、撮影・点検分離方式だと13.7時間で済むそうです。

現地撮影の単純作業は技術者でなくてもできるので、人件費ベースでは、

 

わずか31%で済む

 

そうです。

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撮影・点検分離方式による点検コストの削減例(資料:富士通)

インターネットの普及や高速化、ビデオの高品質化、画像処理技術の進歩により、構造物の点検を行う技術者の移動時間や現地撮影の時間をなくし、より付加価値の高い点検に集中させるという効率化が実現できるようになったことは興味深いですね。

同様な方式は、海外プロジェクトでも活用できそうです。維持管理の本格的なIT化が、いよいよ始まったようですね。

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