建築・土木はどうする?北極海の氷がワースト記録更新中
2012年8月28日

管理人のイエイリです。

まちづくりや社会インフラの整備は、地球環境とも深い関連があります。

日ごろの建築や土木の実務とは、ちょっとスケールの違う話になりますが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による地球観測結果から、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

北極海の氷が史上最小

 

になっていることが明らかになったのです。

JAXAでは、第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)によって地球の観測を続けてきました。この衛星に搭載されているマイクロ波放射計によって観測した海氷データを解析した結果、今年の北極海の海氷面積は、8月24日現在で、421万平方キロメートルと観測史上最も小さい面積を記録したことが分かったそうです。

ちなみにこれまでの観測史上で最小だったのは2007年の425万平方キロメートルでした。

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第一期水循環変動観測衛星「しずく」(写真・資料:JAXA。以下同じ)

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北極海の海氷密接度分布。2007年9月24日(左)と2012年8月24日(右)の状態

北極海の海氷面積は2011年9月、当時の史上2位の小ささにまで縮小していたそうです。その後、冬から春の期間に氷の一部が大西洋に流失していたことが衛星画像から確認されました。

衛星画像の解析から今年の春、北極海の海域はほぼ半分が「一年氷」という前年の夏以降に生成した薄い氷で広く覆われていたこともわかっています。近年の北極域の温度上昇などに伴い、海氷が薄くなっているようです。

北極海の海氷面積が最小になるのは毎年、9月中旬から下旬にかけてです。そのため、海氷面積はこれからも

 

ワースト記録を更新

 

していきそうな状況です。

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1980年代以降の海氷面積の季節変動

人工衛星によるリモートセンシングとインターネットによる情報公開のおかげで、宇宙から見た地球の健康状態データも手軽に見られるようになりました。北極海氷の画像は、地球観測研究センターの「地球が見える」というサイトで詳しく紹介されています。

将来、まちづくりや社会インフラの現状が地球全体にわたって巨大なBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のようにモデル化され、北極海の氷に限らず、降水量や自然災害、耕地面積、日照時間などのデータをシミュレーションできるようになるかもしれません。

建物や社会インフラは、地球温暖化の原因と言われているCO2や排熱による水蒸気を多く排出していますので、北極海の氷にも少なからず影響を与えているでしょう。

数十年先のエネルギーや食糧、水などの問題を北極海の氷は「可視化」しているとも言えます。ライフスタイルや社会、経済のあり方を見据えながら、建築・土木の技術者は、世界の危機回避のための「フロントローディング」を実践していきたいですね。

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