ここにもタブレットが!ダンプ渋滞を防ぐ鹿島の「スマートG-safe」が本格稼働
2012年9月10日

管理人のイエイリです。

東日本大震災で被災した宮城県石巻市では、鉄道が今も運休しているため、通勤はクルマ頼みです。そのため、市内の幹線道路は朝夕に激しい渋滞が発生しています。

さらに津波被災エリア全体で道路復旧工事による通行止めや通行規制も、あちこちで行われています。このような交通状況のなかで、震災がれきょ市内に20数カ所ある一次仮置き場から処理現場(二次仮置き場)に運ぶダンプトラックなどが、大量指定された経路だけを走ると、渋滞をさらに悪化させてしまう心配がありました。

そこで鹿島は、ダンプなどの運搬車両の位置をリアルタイムに把握し、渋滞を悪化させないルート変更指示などを行える車両運行管理システム「スマートG-safe」を開発し、石巻ブロック災害廃棄物処理業務に導入しました。

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宮城県石巻市で本格稼働を開始した鹿島の「スマートG-safe」の概要(写真・資料:鹿島。以下同じ)

ダンプの位置データを取得したり、運転手に運搬ルートの変更などを指示したりするのに使っているのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

タブレット端末

 

なのです。このタブレット端末はNTTドコモ製で7インチの画面が付いています。

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ダンプの運転席に搭載されたタブレット端末(左)とモニター表示例(右)

工事事務所には運行管理室が設けられ、60台のダンプに搭載されたGPS(全地球測位システム)機能付きタブレット端末から現在位置や積み荷などの情報が送られてきます。

運行管理室では各ダンプの位置が地図モニターに表示され、積み荷の種類も別モニターでドライバー名とともに一覧表示されます。さらにドライバーは簡単な操作で「渋滞」、「落下物」、「交通規制」、「浸水」などの位置情報を送ることができ、これらの情報も地図上に表示されます。また、ダンプと運行管理室の間で電話もできるようになっています。

これまでも、GPS端末を利用してダンプの位置を運行管理室で一元管理するシステムはありましたが、道路や交通情報をリアルタイムにドライバーと共有し、ドライバーと運行管理室が緊密に連携できるシステムはG-safeが日本で初めてです。

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工事事務所に設けられた運行管理室(左)と地図モニターの表示例

これらの情報を基に、運行管理室に詰める“交通管制官”役の職員は、ダンプが渋滞区間に入らないようにルート変更、どの一次仮置き場に行くかなどを指示します。

ダンプに搭載されたタブレット端末の画面でも、運行管理室と同じく他のダンプの位置や交通規制などの情報が見られるようになっています。交通管制官から送られたルート変更などの指示を受けた場合は受信ブザーが鳴って指示メッセージが画面に表示されるという仕組みです。

このほか、ダンプが走行中に速度超過したり、進入禁止エリアに入ったりした場合には、タブレット端末から警告音やメッセージ画面でドライバーに警告するとともに、運行管理室の地図モニターにも警告位置と

 

ドライバー名が自動通報

 

されるのです。これだけしっかりしたシステムだと、ドライバーのマナーも良くなりそうですね。

また、道路上の落下物を迅速に撤去することにも役立っているそうです。

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ドライバー側のタブレット端末に表示された警告画面(左)と運行管理室の地図モニターに自動通報された警告位置とドライバー名(右)

鹿島はこのシステムを約40台のダンプに追加導入し、合計約100台で運用していく予定です。そして日報作成機能なども追加し、作業効率の向上も目指してバージョンアップを図っていくとのことです。

ダンプのドライバーはカーナビやVICS(道路交通情報通信システム)以上の情報を見られ、さらに運行司令室からどのようなルートを走ればいいのかを指示してくれるので安心して安全運転に専念できそうですね。

レーダーもないのに、空港の管制塔のようなダンプの運行管理システムができたのも、GPSや通信機能を積んだタブレット端末のおかげでしょう。今後も工事現場などにタブレット端末がどんどん普及していきそうです。

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