衝突事故は皆無!鹿島が開発した原発がれき自動搬送システム
2013年7月5日

管理人のイエイリです。

東京電力福島第一原子力発電所の解体工事現場では、夜間に高線量がれきを保管場所まで運搬する作業が行われています。

原子炉建屋解体現場で鋼製コンテナに鉄筋コンクリートや鉄骨などのがれきを積み込み、約1km以上先にある構内の保管場所まで運搬する作業です。

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福島第一原発の原子炉建屋解体現場(写真・資料:鹿島。以下同じ)

放射線環境下のため、鹿島はこの作業を「遠隔操作」による無人化施工で行ってきましたが、さらに画期的な技術を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

運搬機械が自律的に判断

 

して、人手を介さずに自動搬送できるシステムなのです。

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屋外区間を自動搬送するクローラダンプ

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屋内区間を自動搬送するフォークリフト
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解体現場から保管場所までの運搬経路と重機の作業分担

がれきの運搬は、原子炉建屋から構内保管施設の入り口まで約1kmの屋外区間はクローラダンプ、そこから保管場所まで往復する約800mの屋内区間はフォークリフトで行います。

屋外区間には数カ所のカーブや斜路、狭い道路が含まれています。また、屋内区間は幅約5.8mの通路で7%勾配のスロープや、切り返し部があります。

これらの“難所”を通過したり、前方障害物や車体周囲の空間形状を計測したりするために、運搬機械には

 

レーザースキャナー

 

が搭載されているのです。

例えば、フォークリフトには前後左右に4台のレーザースキャナーが搭載されており、車体周囲の空間形状や周囲の構造物との相対位置や姿勢を計測し、コンピューターで解析します。

このデータをもとに、障害物を検知したり、保管施設との衝突を回避したりしながら、前進、後進、回転、方向転換などの複雑な走行を全自動で行えるようになりました。レーザースキャナー方式の位置姿勢計測技術は鹿島と産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターとの共同研究成果を利用しています。

クローラダンプによる屋外走行は目標時間30分、フォークリフトによる構内保管施設内走行は目標時間45分ですが、目標時間内で作業ができています。これまで他の機会や設備との衝突事故や、走行路からの逸脱は一度もないそうです。

オペレーターが遠隔操作する方法に比べると、技量に関係なく一定時間で作業ができるため、確実な工程管理の実施にもつながっています。また、搬送用の重機は市販のものなので、導入コストも低く抑えられ、自動化のために施設の変更や事前の工事も不要です。

こんなシステムが実用化されていると、他の災害が発生したときにも直ちに出動して作業できそうですね。日本の建設業の進化を実感しました。

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