8kmも飛ぶ!日本電業工作が現場LAN用に開発した「おくだけWi-Fi」

2013年12月25日

管理人のイエイリです。

工事現場でタブレット端末やスマートフォンを使う時、ケータイの電波が届かない地下やトンネル内などには、無線LAN(Wi-Fi)を設置する必要があります。

しかし、一般に売られている家庭用のWi-Fi装置だと100m程度しか届かない場合もあり、広い現場や長いトンネルでは何台もアクセスポイントを設置する必要があります。

そこで日本電業工作は、工事現場で手軽に長距離LANを敷設できる「おくだけWi-Fi」シリーズを発売しました。「おくだけWi-Fi」と名前がついているように、無線LAN装置とバッテリー、アンテナなどがついた背負子(しょいこ)をいろいろな場所に置くだけで現場内にWi-Fi網を構築できます。

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「おくだけWi-Fi」シリーズの無線中継器(写真:家入龍太。以下同じ)

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背負子の箱を開けたところ。2台の無線LAN装置(左側の白い箱)とバッテリー(右側の黒い箱)がコンパクトに収納されている

このシリーズのポイントは、一般のWi-Fi装置よりも通信距離が長いことです。電波は普通のWi-Fi装置と同じく2.4GHz帯を使っていますが、1つのアクセスポイントを置くだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

最大800mをカバー

 

することが可能なのです。

さらに中継器用の平面アンテナを向き合わせることで、最大8kmもの長距離通信が可能です。

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「おくだけWi-Fi」シリーズに使われている棒状アンテナや平面アンテナ

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「おくだけWi-Fi」シリーズの使用例

その秘密はなんといってもアンテナにあります。アクセスポイント用の棒状のアンテナには、電波を放射する「エレメント」が10個、中継器用の平面アンテナにはエレメントが16個も内蔵されているのです。

そのため、電波の送信時は強力な電波を送り出し、受信時はタブレット端末やスマホの弱い電波でもアンテナ自身が増幅してキャッチすることできます。

アンテナ自体に利得があるため、無線LAN装置の消費電力はわずか2.5Wと省エネタイプが使われています。ちなみに家庭用のハイパワーWi-Fi装置だと13W程度のものもあるそうです。

また、一定の方向にだけ電波を送受信する「指向性」のあるアンテナの場合、両方のアンテナを正確に向き合わせないと通信できないこともありますが、「おくだけWi-Fi」シリーズの平面アンテナは目視で大体の方向を合わせるだけでちゃんと通信が行えます。このあたりも現場での使用がよく考えられています。

アマチュア無線の世界では、海外との通信を行うためには無線機よりもアンテナにお金をかけろと昔からよく言われていますが、Wi-Fiも長距離通信をやろうと思ったらアンテナが大事なのですね。

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12月20日に東京・八重洲で行われた新製品発表会。約80人が集まり、現場でのWi-Fi設置に対する関心の高さをうかがわせた

もっと長距離の通信を行いたい場合には、4.9GHz帯の電波を使ったシステムがあります。こちらのシステムも平面アンテナを使っていますが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

最長18kmの通信

 

が可能とのことです。

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18kmの長距離通信が可能な「Falcon WAVE」システム

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4.9GHz帯用平面アンテナの指向性

日本電業工作は、携帯電話の基地局アンテナやテレビ局が使う電波フィルターの老舗メーカーです。そのため、電波のプロの間では技術力が高く評価されています。アンテナ技術を生かした工事現場用Wi-Fiシステムは、やはりひと味違いますね。

 
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