BIMと連動!揚重作業効率を30%アップする清水建設の「スマートクレーン」
2013年12月12日

管理人のイエイリです。

ビル工事現場にそびえ立つタワークレーンは、ビルの各部分に工事用資材を送り届ける主役級の建機です。吊り上げた資材の内容と吊り上げ・つり下ろし位置、その時間の情報は、ビル工事の進ちょくデータと言っても過言ではありません。

ここに着目した清水建設は、IHI運搬機械とエスシー・マシーナリと共同で新型タワークレーン「スマートクレーン」を開発し、神奈川県内で同社が施工中の大型タワーマンションの現場に2基を導入しました。

その特徴は、クレーンの揚重作業の状況を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

BIMモデルと連動

 

させて進ちょく状況などの施工管理を行えるようにしたことなのです。

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神奈川県内のマンション建設現場に導入された「スマートクレーン」(写真・資料:清水建設。以下同じ)

クレーンの運転席にはパソコンやモニターが装備され、吊り上げワイヤの巻き上げ・巻き下げ量やジブの角度、クレーンの旋回角度を検出できるセンサーのデータを集約サーバーに送信して、リアルタイムに部材を吊り上げるフックの位置が計算できるようになっています。

フックに資材の荷重がかかるとサーバー上のプログラムが揚重作業開始と判断して吊り上げ位置を特定。資材がビル上の取り付け位置に届いてフックの荷重が解放されるとその位置を特定する、という仕組みです。同時にそれぞれの時刻も記録されます。

これらの情報をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルと連動させると、出来高を3Dで見える化したり、計画と実績を3Dで比較したりすることができます。クレーンがもたらす情報は利用価値が大きいですね。

また、スマートクレーンのシステムは、タブレット端末とも連携しています。部材をフックにかける玉掛け作業員がタブレット上で部材番号にタッチすれば、その部材をどこに運ぶのかという情報が、クレーン運転室のモニターや取り付け作業員のタブレット上の図面に表示されます。

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タワークレーンの運転室内のモニター。上からジブ先端カメラ用モニター、集約計器、運転室モニター

資材を吊り上げるクレーンのフックには、

 

無線LANやカメラ

 

などを備えた「多機能フック」を採用しました。

スピーカーやマイク、LED照明、そしてバッテリーまでを搭載しています。

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多機能フックに搭載された様々な機器。幅1,594mm×厚さ635mm×高さ4,380mmの大きさで、重量は1.2t

バッテリーへの充電も工夫が凝らされています。クレーン休止時にフックを巻き上げてジブに接近させると、独自開発の非接触充電システムによって自動的に充電できるようになっています。

吊りワイヤのほか、電線の処理をどうするのかを疑問に思っていましたが、非接触充電システムで解決したとは。そのアイデアには脱帽しました。

クレーンのベースマシンは、500mtの機械的性能をもつ国内最高水準のものを採用しました。これらのICT(情報通信技術)の活用と相まって、従来の揚重作業に比べて作業効率が20~30%程度向上し、高さ100mクラスのビルなら工期を約1カ月も短縮できる見込みです。

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