管理人のイエイリです。
あの東日本大震災から今日で丸3年がたちました。地震や津波などで命を落とされた方々のご冥福をあらためてお祈りいたします。
私は先週の3月5日、東京電力福島第一原子力発電所の構内に立ち入り取材することができました。東京電力からYAHOO!ニュースに取材の打診があり、私は同サイトの「家入龍太の建設イノベーション」というコーナーを執筆していることから、今回の取材が可能になったのです。
福島第一原発の報道といえば、「タンクから汚染水が漏れた」「原子炉地下の復旧は手つかず」といったネガティブなものが多いので、さぞかし混乱状態にあるのだろうかと思っていました。
もちろん、線量の高い場所での作業には完全マスクや防護服などの重装備が必要ですが、現場の雰囲気はかなり落ち着き、工程に従って粛々と作業する巨大な工事現場という雰囲気がありました。
中でも、意外だったのは水素爆発を起こした4号機の変身ぶりです。「燃料取り出し用カバー」が設置されたと聞いていましたので、なにかテントのようなものがかぶさっているのかと思いきや、
ナ、ナ、ナ、ナント、
燃料棒取り出し工場
と言っても過言ではないほど、立派な鋼構造物に課していたのです。
この燃料取り出し用カバーの内部には、100トン吊りの門形クレーンがあり、4号機の燃料プールにある使用済み燃料1331本、未使用燃料202本を搬出するのに使われています。搬出は去年の11月18日に始まり、今年1月29日現在で使用済み年利用220本、未使用燃料22本を共用プールに移送済みです。
取り出し手順は、燃料プールの一角に「キャスク」という容器を沈め、水中で22本の燃料棒を遠隔操作で吊り上げ、キャスクに入れていきます。
そしてキャスクを吊り上げてふたをし、除染して地上の大型トレーラーに吊り下ろし、原発構内の共用プールに移送します。
爆発事故当時、4号機は定期点検中で運転していませんでした。ところが隣の3号機からの水素が建屋に流れ込み、水素爆発を起こしました。その結果、燃料プールの下の階が大きく損傷し、燃料プールが“中ぶらりん”になるという危機に直面しました。
そこで、事故直後から燃料プールの下の階をコンクリートや鋼製支柱で補強する対策が採られました。
この燃料プールが地震などで壊れると、内部の燃料棒が大気にさらされることになり、さらに深刻な事態を招くと心配されています。
そこで東京電力は、
4号機建屋の応力解析
を行い、耐震性を検証していたのです。
この事実は、東京電力のホームページで随時、更新されている「福島第一原子力発電所の現況」というコーナーに掲載された2012年8月30日付けのレポート(PDF)で詳しく見ることができます。
福島第一原発について東京電力が発表する情報は信用できないという考え方も根強いですが、同社にはセキュリティー面に配慮しながらも非常に細かい部分まで情報公開しようという意思も感じられます。
公開されているデータを見てみると、建設業関係者なら納得できる情報も多くありそうです。一般マスコミの報道とは違った同原発の姿も見えてくるのではないかと思いました。