管理人のイエイリです。
建築業界でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が普及するにつれて、設計者や施工者の悩みの1つはどの程度、時間と労力をかけてBIMモデルを作ればいいのかということです。
国土交通省官庁営繕部は昨日(3月19日)、この悩みに対する回答を出しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
「BIMガイドライン」を策定
し、国交省のウェブサイトで公表したのです。
このガイドラインは平成26年度から国交省の官庁営繕事業(設計業務と工事)に適用するもので、「受注者の自らの判断でBIMを利用する場合や、技術提案に基づく技術的な検討を行うにあたってBIMを利用する場合等に適用」するとしています。
ガイドラインは「総則」、「設計業務編」、「工事編」の3編からなり、全部で25ページ(PDF)というコンパクトなものですが、BIMの利用目的を明確化したのが特徴です。
例えば、日影シミュレーションによる建築可能範囲の検討や、複数の官庁や部署が入居する庁舎の色分けによるゾーニング計画、部材同士の干渉チェックといった技術的な検討の具体例を示しました。
また、BIMソフトの概算数量算出機能を使ったコスト管理の項目では、柱と壁などの「包絡処理」や「勝ち負け処理」によって重複がないように処理する、といった細かいことも記載されています。
属性情報の内容については「特定の製品名や製造所名を記載してはならない」としています。
ただ、BIMを使った場合も設計業務の成果物はあくまでも2次元図面であり、図面をCADデータで納品する場合には「建築設計業務等電子納品要領」に基づき「原則としてSXF形式とする」としている点については、BIM活用のネックにならないかという心配もあります。
今回のガイドラインで注目すべき点は、BIMモデルの詳細度を表す
LODの具体例
が、「基本設計方針の策定」、「基本設計図書の作成」、「実施設計図書の作成」の3段階で参考として示されている点です。
LODは「Level Of Detail」や「Level Of Development」の略です。受注金額は決まっているので、LODがはっきりしているとBIMモデルを作り込みすぎるという無駄がなくなりそうですね。
国交省では今後、ガイドラインを適用したBIM利用の事例を蓄積し、他の公共発注機関にも周知していくとのことです。国交省を通じていろいろなBIM活用事例が公開されるといいですね。