管理人のイエイリです。
建物の周囲を緑化することは、景観や地域の生態系にプラスの影響を与えます。その一方で、害虫の発生やメンテナンスコストの増大などマイナスの影響もあります。
そこで東急建設は石勝エクステリアと共同で、「緑化に伴うリスク表示システム(Ver. 1.0)」を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
嫌われる虫の発生リスク
を見える化するシステムなのです。
今回のシステムでは、石勝エクステリアが長年、造園で培ってきた知識や経験、ノウハウをもとに作成した植物ごとに発生する「嫌われる虫」のデータベースをもとに、発生リスクをスコア化して図面上に表示できるようにしました。
植物ごとに発生する「嫌われる虫」をまとめたデータベースの例(資料:東急建設)●
例えば、童謡「たきび」でも有名なサザンカは、寒い時期に赤やピンクの花を咲かせて景観に潤いを与えてくれますが、その一方で、人体に触れるとかぶれる「チャドクガ」がよく発生するという“裏の顔”も持っています。
場合によっては通院する必要が出てくることもあるので、保育園や幼稚園などの緑化に使うと、園児に被害続出という思わぬ出来事も発生します。
認可保育園「ポピンズナーサリースクール西五反田」の緑化計画では、当初、園庭の一部にサザンカやクサツゲを植樹することになっていました。
そこでこのシステムを使って確認したところ、サザンカなどにリスクがあることが発見され、キンモクセイやアベリア「ホープレイズ」などに変更。その結果、リスクのスコアが大幅に減少しました。
最近は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などによる設計で、樹木のモデルを使って景観を検討することも増えてきましたが、植物の深い知識がないと完成後に
思わぬクレームを招く
ことになりかねません。
このシステムの開発には、日本大学理工学部の伊東英幸助教と押田佳子助教からの指導を受けました。
樹木のBIMパーツの属性情報にも、こうした植物のリスク情報を入れておくと、景観だけでなく、害虫の発生やメンテナンスコストなどの“裏の顔”も同時に見える化できるようになりそうですね。