管理人のイエイリです。
原発再稼働の有無にはかかわらず、省エネや再生エネルギーの活用は進化しているようです。
東京都清瀬市にある大林組技術研究所の本館テクノステーションはこのほど、空調や衛生、電気設備の改善や太陽光発電設備の増設などの工事を行いました。
その結果、常時約200人が活動する大規模ビルとして、
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本初の「ソースZEB」
を達成できる建物になったのです。
ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、年間に消費するエネルギーと生産するエネルギーの収支をトータルでゼロにした建物を意味します。
ただZEBにもいろいろな種類があり、「エミッションZEB」と言った場合は、省エネなどの対策を行ったうえで残ったCO2排出量を、外部から再生可能エネルギーを購入する「カーボンオフセット」によって総合的にゼロにしたものです。
一方、大林組が挑戦した「ソースZEB」とは、さらにハードルが高いもので、消費する石炭、石油、天然ガスなどの「一次エネルギー」を、太陽光発電などの再生可能エネルギーなどによって年間トータルでゼロにした建物です。
本館テクノステーションは2010年9月に完成した後、2011年度には東京都の一般的なオフィスビルに比べてCO2排出量を約57%削減し、カーボンオフセットによる「エミッションZEB」を達成しました。
その後も省エネ化への努力を続け、2012年、2013年にはCO2排出量の約65%削減を達成しました。これは国内最高水準の省エネということです。
そして、今回の工事により、ついに本館テクノステーションは消費するエネルギーより再生可能エネルギーの方が年間で多くなり、「ソースZEB化」を実現できることになったのです。
今回のソースZEB化工事の内容は、(1)空調・給排水・照明機器の制御の改善と高効率化、(2)コージェネレーション排熱の有効利用、(3)環境緑地をそのままに、敷地内建物の上部空間を利用した新たな太陽光発電設備の導入、という3本柱からなっています。
工事の内訳は上の表の通りですが、太陽光発電設備の増設やLED照明の採用、地中熱利用といった目立つもののほか、「給水ポンプの圧力設定値の最適化」や「凍結防止運転時の間欠運転制御」、さらには自家発電と給湯を同時に行う「コージェネレーション設備で生じた排熱を
隣接建物に熱融通
する」というように、“乾いたぞうきんを絞る”レベルの省エネ化、排熱のリサイクルに取り組んだことがうかがえます。
経済産業省の「エネルギー基本計画」(2010年閣議決定)では、ビルなどの建築物は2020年までに新築公共建築物でZEBをめざし、2030までに新築建築物の平均でZEBを目指すとしています。
大林組の技研が大規模なオフィスビルとして日本初のソースZEB化を実現したことは、日本のZEB史に刻まれることでしょう。