管理人のイエイリです。
人里離れた場所で現場の自動監視や自動計測を行おうとするとき、問題になるのが電源です。
観測拠点までいちいち電源ケーブルを敷設する作業は大変ですし、危険が伴う場合もあります。
そこで三井住友建設は、遠隔地での防災監視などを電源ケーブルを敷設せずに長期間、安定して行える防災監視局「ジェネシスFPS」(GENESIS/Field Power Station)を神戸大学の芥川真一教授、ケー・エフ・シー(大阪市北区)、オサシ・テクノス(高知市)と共同で開発しました。
監視局に接続した変位や水位計、雨量計など様々なセンサーの計測データを、工事事務所などに定期的にパケット通信で送るシステムですが、その電源は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
太陽光発電だけ
でまかなえるのです。
天気や時刻によって発電量が左右される太陽光発電を、夜間や雨の日も電源として活用できるようにするため、蓄電池を備えています。
面白いのは発電量や蓄電量を常時、モニタリングする「発電・蓄電モニター」を搭載していることです。発電や蓄電池の充電量が少なくなってきた場合には、測定間隔を空けたり、通信頻度を下げたりして、消費電力を最適に利用します。
まるでHEMS(住宅用エネルギー管理システム)や太陽光パネル、蓄電池を備えたスマートハウスの小型版ですね。
それでも、場合によっては雨や曇りの日が続いてどうしても電源が足りなくなってしまうことも想定されます。
そんな異常事態が発生し、充電電圧が一定値以下に下がったときには、システムはいったん自動停止し、電圧が回復したら自動復旧する仕組みになっています。
この停止と復旧が起こったときには、
メールで自動通知
してくれるので、「もしかしたら故障したのかも」と心配したり、計測システムを点検に行ったりする必要がありません。
現場の技術者もこれなら安心して監視ができますね。
また、斜面監視などで多数のセンサー群を設置する場合、監視局とセンサーの間も配線が大変なことがあります。
こんな現場には監視局とセンサーとを配線の代わりに特定小電力無線で結ぶジェネシスFLD(Field Data Link)というシステムも用意されています。
このほか、ジェネシスFPSでは蓄電池の交換周期を延ばすため、充電の方式も「バルク充電」、「吸収充電」、「フロート充電」の3段階の充電モードを適宜、使い分けることによって蓄電池の長寿命化もはかっています。
外部電源に頼ることなく、完全にエネルギーを自給自足する監視システムは、太陽光だけで自立できる未来のインフラをひと足先に実現したものと言えそうですね。