管理人のイエイリです。
3Dによる流体解析技術が進化したとはいえ、津波解析には大変な時間がかかります。
波源から市街地までを3Dでモデル化して計算する場合、1万ノードのスーパーコンピューター(スパコン「京」の8分の1に相当)を使った場合、
ナ、ナ、ナ、ナント、
200年以上の時間
がかかるそうなのです。つまり、2世紀以上ですよ。
そこで富士通と東北大学は2012年から共同研究を行い、津波が市街地や河川を遡上するさかのぼる様子を精密に再現できる3次元津波シミュレーターを開発しました。
東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授が、波源から沿岸部までの津波の到達時刻や波高といった「マクロな計算」を行うために開発した2次元シミュレーション技術と、富士通が沿岸での砕波や堤防の越流など「ミクロな計算」を行うために開発した粒子法による3次元シミュレーション技術を融合させたものです。
このシミュレーターを使うと、波源から沿岸まで広域な津波の波高や流速をスピーディーに計算できるとともに、沿岸部で津波が防波堤を越えて打ち上がり、激しく落下する津波の衝撃力による被害といった予測を正確に行えます。
2Dと3Dを融合させた結果、計算時間は大幅に短縮されました。
例えば、1万ノードのスパコンを使って、港や湾1つ分に相当する約10km四方の津波の動きを、0.5m径程度の解像度で計算した場合、
160時間程度
で計算できるそうです。
それにしても、スパコンを1週間も回し続けて計算するとは、津波解析は大変ですね。
富士通はこの3次元津波シミュレーターによって津波の挙動を精密に予測し、沿岸部や市街地における高度な津波被害予測を行うほか、減災対策を支援するソリューションを開発し、政府や自治体などに提案していくことにしています。