管理人のイエイリです。
清水建設のBIM活用と言えば、2009年に行われたBIM仮想コンペ「Build Live Tokyo 2009 II」で彗星のごとく表れ、初出場で初優勝という成果を挙げたのを皮切りに、各支店でも施工段階での先進的なBIM活用が行われてきました。
それは国内に限らず、海外でも同様です。4月29日、私は清水建設のシンガポール事務所におじゃまし、現地のプロジェクトにおけるBIM活用についてを直撃取材しました。
同事務所では4年前から、いろいろなプロジェクトでBIMの活用に少しずつ取り組み、今年、行っている複合施設「メープルツリー・ビジネス・シティー2」(以下、MBC2)の施工では、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ついに「フルBIM」
を実現したのです。
「フルBIM」とは、意匠、構造、設備の施工図作成などをBIMで行うものです。BIMモデルで干渉などを避け、施工上の問題などを解決してから図面を作成し、手戻りのない施工を行っています。
この設計調整や施工手順の検討などのために、現場には
「BIMルーム」を設置
し、BIMモデルと図面を投影しながら会議が行えるようになっています。
MBC2で実現した「フルBIM」の導入は、清水建設シンガポール事務所にとって「ステップ3」という仕上げ段階に相当する取り組みです。
最初の「ステップ1」では3Dや4Dによるシミュレーション、施工図作成などの基本的な機能、「ステップ2」では数量計算や設計と構造設計の相互連携などの自動化機能に取り組んできました。
これまで取り組んだBIM活用の例。MS ProjectとBIMモデルの連携による工程管理(上段)。エスカレーター付近の防煙シャッターの4Dによるすき間確認(下段) |
MBC2の現場所長を務める石橋章夫さんは「シンガポールの工事現場で働くスタッフや作業員は、外国人がほとんどですが、BIMを使うと分かりやすく説明できるので、とても重宝している」と説明します。
やはりBIMは万国共通語として、海外プロジェクトでは役に立つようですね。日本の建設業にとって、将来の国際展開のためにも、BIMの活用力を高めておくのは有効なようです。