管理人のイエイリです。
イタリア・ミラノ市には1779年にオープンした「リリコ劇場(Teatro Lirico)」という歴史的建造物があります。
1998年に閉鎖されましたが、2007年にこの劇場の改修プロジェクトが立ち上がり、オリジナルの正面入り口と内部のデザインを残して新しい建物に生まれ変わることになりました。
そこで、まずは建物の現状を正確に記録しておこうと、3Dレーザースキャナーで劇場の外観と内部を4日間にわたりスキャニングしました。
その測定は550カ所で行われ、点群データの総数は
ナ、ナ、ナ、ナント、
100億個以上
にものぼったのです。
これらの点群データは、オートデスクの点群処理ソフト「ReCap」に取り込み、建物全体の点群データにまとめました。
そのデータを、BIMソフト「Revit」に取り込み、詳細なBIMモデルを作成したのです。このBIMモデルには
写真画質の外観情報
も付加されました。この一連の作業には、米国オートデスク社が協力し、ソフトはRevitなどを含むBIMパッケージ、「Autodesk Building
Suite」を使ったそうです。
3Dレーザースキャナーでの計測から、RevitによるBIMモデル化までを紹介したビデオ(YouTubeより)
リリコ劇場はオープン以来、200年あまりにわたり、バレエやオペラ、演劇などが上演され、1944年にはムッソリーニが最後の演説をした舞台となりました。
今後、この劇場は新しい建物へと生まれ変わりますが、BIMモデルが残っていることで、いつでも改修前の状態を見ることができます。
いわば、歴史的建造物を電子データで記録に残す「デジタルアーカイブ」として、BIMが役立ったというわけですね。
このBIMモデルは、劇場改修工事を請け負う建設会社にも渡され、工事にも生かされます。