コウモリの洞窟をVR化!フォーラムエイトのユニークな技術開発組織
2014年7月10日

管理人のイエイリです。

バーチャルリアリティー(VR)ソフト「UC-win/Road」や土木設計ソフトなどで知られるフォーラムエイトには、「World 16」という技術開発を担う独自の国際組織があります。

世界の大学から、様々な専門分野を持つ研究者16人を選び、同社のVRソフトの用途開発などを研究する組織で、アリゾナ州立大学の小林佳弘准教授がリーダーを務めています。

この「World 16」の夏季合宿ともいうべき「国際VRシンポジウム 第5回サマーワークショップ イン ハワイ」が、7月7日~11日まで、ハワイで開催されています。8日には研究成果を発表する講演会が開かれました。

ワークショップの参加者(写真:特記以外は家入龍太)

ワークショップの参加者(写真:特記以外は家入龍太)

会場となったホテル

会場となったホテル

海外の研究者が多いだけあって、VRに関連する研究といってもアプローチは様々です。例えば、バージニア工科大学のトマス・タッカー(Thomas Tucker)准教授は、中国の山東大学との共同研究で

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

コウモリの洞窟をVR化

 

したことを発表しました。

VRソフト「UC-win/Road」上に再現したコウモリの洞窟(画像:Thomas Tucker。以下同じ)

VRソフト「UC-win/Road」上に再現したコウモリの洞窟(画像:Thomas Tucker。以下同じ)

 

発表するバージニア工科大学のトマス・タッカー准教授

発表するバージニア工科大学のトマス・タッカー准教授

数千匹ものコウモリが住む洞窟の内部を、3Dレーザースキャナーで計測し、1つの点群データを作りました。そのデータをVRソフト「UC-win/Road」に取り込んだのです。

コウモリの洞窟内部を3Dレーザースキャナーで計測

コウモリの洞窟内部を3Dレーザースキャナーで計測

計測された点群データ

計測された点群データ

タッカー准教授の研究は、さらにコウモリの動きにまで及びます。コウモリの羽根に多数のマーカーを取り付け、モーションキャプチャーという方法で動きを計測しました。
そしてコウモリの顔にマーキングを施し、3台の高速度カメラと8台の圧力マイクロホンを使って、コウモリの顔の動きまでもモーションキャプチャーで計測するという念の入れようです。

コウモリの羽根に取り付けるマーカーの位置

コウモリの羽根に取り付けるマーカーの位置

マーカーを付けたコウモリが飛ぶ様子を多数のカメラで追跡

マーカーを付けたコウモリが飛ぶ様子を多数のカメラで追跡

コウモリの顔にマーカーを描く作業

コウモリの顔にマーカーを描く作業

さらに極めつけは、コウモリの全身を、

 

マイクロCTスキャン

 

にかけて、骨格の3Dモデルまで作ってしまったのです。

CTスキャンのデータを元に作成したコウモリの骨格3Dモデル

CTスキャンのデータを元に作成したコウモリの骨格3Dモデル

モーションキャプチャーと骨格の3Dモデルから、コウモリがどう動くのかがよくわかりますね。

今後、VRソフトで洞窟の3Dモデルとコウモリの動きを組み合わせると、コウモリの動きのメカニズムがさらに解明できそうですね。

当初は道路設計用に開発されたUC-win/Roadが、コウモリの生態研究まで使われているとは驚きました。

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