管理人のイエイリです。
中小の工務店にとって、住宅の見積もり作成は手間と時間がかかる作業です。せっかく見積もりを作っても、施主へのタイミングが遅いと失注してしまうことも多く、無駄な作業になってしまいます。
そこで、LIXILグループのK-engine(本社:東京都新宿区)は、これまで約1週間(約1万分)かかっていた見積もり作業をわずか5分に短縮する画期的なクラウドシステム「K-engineサービス」をこのほどスタートさせました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
Jw_cadの図面データ
をクラウドにアップロードし、簡単な設定を行えば、わずか2分間で施主への見積書や実行予算などを正確に計算してデータを戻してくれるというシステムなのです。
Jw_cadの図面から住宅の壁や部屋などの寸法や、システムキッチンなどの建材設備などを拾い出し、それらに単価をかけて集計するのは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトも顔負けです。
なぜ、こんなことができるかというと、Jw_cadの図面データにある「レイヤー」をBIMの属性情報代わりに使用し、クラウドが部材の種類などを区別できるようにしているからです。
図面上のデータは「3D部品」として分解され、住宅全体を3Dモデルとして作成します。これらの機能を実現するエンジンは、福井コンピュータアーキテクトの3D住宅設計システム「Architrend-Z」のものが採用されているとのことです。そのため、Jw_cadの図面のほかArchitrend-Zの図面データでも見積もりなどが可能です。
また、クラウドシステムには一度、工務店が自社の標準仕様としてよく使う建材設備をデフォルトで入力できるように登録しておきます。そしてクラウドに登録された約300万点もの建材設備データから標準価格などを拾い出し、自社の「掛け率」や「利益率」などで調整して施主用の見積書や実行予算書を作成します。
仮設工事の内訳には、いちいち入力しなくても「仮設トイレ」や「養生ネット」、「外部足場」などの数量が自動計算されます。
さらに驚くべきことに、カレンダーや工務店の休日などを反映して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
工程表まで自動作成
してくれるのです。BIMで言えば、4Dシミュレーションということになりますね。
まさに「K-engineサービス」は、Jw_cadのデータを3D、4D、そしてコストの5Dまで展開するクラウドと言えます。
気になる利用料ですが、会社の規模によって毎月5000円(税別)~5万円(同)とのことです。
「K-engineサービス」はこれまでLIXILが30数億円の費用と、3年の歳月をかけて開発してきましたが、建設業界のプラットフォームとして普及させるため、次世代産業の育成を行う産業革新機構から約20億円の出資を受け、別会社としました。
また、10月には「K-engineプラットフォーム・オープン協議会」(仮称)の準備会も発足させ、建材設備のデータなどのコンテンツを提供する企業や、BIMソフトを開発する企業などと協力しながら、K-engineを普及させていく予定です。
日本でこれだけ本格的な見積もりクラウドシステムができたのは、すばらしいことですね。将来はBIMソフトとの連携も可能になりそうなので、見積もり作業もスピードアップしそうです。