1969年、人間を初めて月面に送ったアポロ11号など、米航空宇宙局(NASA)の宇宙船設計のために開発されたソフトに、「Nastran」という構造解析ソフトがあります。
Wikipediaの記事によると、最初にNASAに納入されたのが1968年とのことですから、開発から50年近くたちます。シニアな技術者の中には「Nastran」と聞くと、懐かしい思い出がよみがえってくる方もきっといるでしょうね。
この由緒ある構造解析ソフトが、今年9月1日に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
オートデスクから発売
されたのです。
同社が3D設計モデルのシミュレーション・アプリケーションのラインアップを強化するため、「Autodesk Nastran 2015」として発売したものです。
今回発売された「Autodesk Nastran 2015」は、有限要素解析(FEA)のソルバーで、構造物の線形/非線形構造解析や動的応答解析、モーダル解析から、定常/非定常熱伝導解析、座屈解析、落下衝撃解析、そして疲労解析まで、幅広い解析が行えます。
Nastranは数社から発売されていますが、今回のソフトはオートデスクが今年5月に買収したNEi Software社の「NEi Nastranプラットフォーム」を元に開発されました。
利用形態は、
デスクトップかクラウド
のどちらかを選択できます。
以前から販売している「Autodesk Simulation Mechanical」と「Autodesk Simulation Flex」のサブスクリプション契約者には、このソルバーが無料提供されます。
また、機械設計用の3DCAD「Autodesk Inventor」や「SolidWorks」上で動く「Autodesk Nastran In-CAD
2015」も英語版が9月1日に発売されました(日本語版は2015年前半に発売予定)。
部材などを3DCADで設計しながら、その場で構造解析を行い結果を設計に反映できます。
Inventorでチェーンソーの設計を行いながら「Nastran In-CAD 2015」で熱応力解析を行った例を紹介するビデオ(動画:Autodesk)
私が土木設計の仕事を行っていた20数年前は確か、Nastranは線形計算やモーダル解析くらいしかできなかったように記憶していますが、今では非線形解析や座屈、熱伝導、そして疲労解析など、機能が大幅に進化していることを知って、月日の流れを感じました。