点群データを“草刈り”!茂みに隠れた地表面を3D化する岩崎のPET’s
2014年9月4日

管理人のイエイリです。

堤防や斜面など、地表面の形状を求めるのに、「点群データ」という無数の3次元座標で計測する3Dレーザースキャナーは強力な武器となります。

しかし、現場に行ってみると地表面には草木が生い茂り、点群データのほとんどは草木の表面の位置を測っていることになり、肝心の地表面の位置はなかなかわかりません。

3Dレーザースキャナーによる計測作業。現場は草木に覆われている(特記以外の写真・資料:岩崎)

3Dレーザースキャナーによる計測作業。現場は草木に覆われている(特記以外の写真・資料:岩崎)

計測された斜面の点群データ。そのほとんどは草木の表面を測ったもの

計測された斜面の点群データ。そのほとんどは草木の表面を測ったもの

そのため、正確な地表面形状を測るためにはこれまで、計測前に斜面の草刈りを行ったり、じゃまなものを片付けたりする必要がありました。

そこで岩崎(本社:札幌市中央)は、こうした面倒な作業を不要にする画期的な点群ソフト「PET’s」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

点群データ上で“草刈り”

 

を行い、草木に隠れた地表面の形状を抜き出してくれるのです。

草木を含んだ点群データ(上)から一番下の地表面(下)を抜き出す

草木を含んだ点群データ(上)から一番下の地表面(下)を抜き出す

3Dレーザースキャナーから毎秒数万~数十万回発射されるレーザー光のほとんどは草木に当たってしまいますが、1~2%のレーザー光は草木をすり抜けて地表面に当たります。

PET’sは膨大な点群データから地表面に当たったデータだけを取り出して、草木の下にある地表面の形状を求めてくれるのです。

具体的には点群データを10cm程度の幅に切り出し、その範囲に含まれている点群データの最下部の包絡線を描く要領で断面図を作ります。この断面図をずらりと並べると地表面の3D形状がわかるという仕組みです。

断面図は45°ずつ方向を変えて4方向のものを作り、これらを合成して「TIN」という三角形の面を張ったデータを作るという徹底ぶりです。

点群を10cm程度の幅に切り出し、断面図を作成する。これを45°ずつ4方向行う

点群を10cm程度の幅に切り出し、断面図を作成する。これを45°ずつ4方向行う

このソフトを使うと、点群データ上にある

 

バックホーを消して

 

その下にある地表面を取り出すことも可能です。

バックホーを消して地表面を取り出した例

バックホーを消して地表面を取り出した例

PET’sを開発したのは岩崎 企画調査部の奈良久さんというシニアなプログラマーです。土木工事の現場もよく知っているため、不規則な地表面の中にコンクリートコンクリートの側溝などが突如、現れても、そのシャープな断面を見逃しません。

PET'sを開発した奈良久さん

PET’sを開発した奈良久さん

ちなみにPET’sは「Point Cloud Edit Tools」(点群データ編集ツール集)の略で、価格は1ライセンス60万円(税別)です。これ1本あれば、計測のために現場の草刈りがいらなくなると考えると安いかもしれませんね。既に官庁などからも好評を得ているそうです。

今後、PET’sには現場のニーズに合わせて様々な機能の製品を追加していくそうです。どんな製品が出てくるのかが楽しみですね。

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