管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、「MicroStation」や「Bentley Architecture」を開発・販売するベントレー・システムズは、海外ではオートデスクと肩を並べる存在感を持っています。
同社は毎年、「Be Inspired」という大規模な国際イベントを開催し、その中で同社製品の活用プロジェクトを評価する「Be Inspired Award」という賞を設け、優秀企業を表彰しています。
今年11月6日に英国・ロンドンで開催された2014年の同賞に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本企業が2社入賞
を果たしたのです。
・その1社は竹中工務店で、「やわらぎ 森のスタジアム」という作品が、優れた革新性と先見性が認められ「建設モデリングにおける有効な戦略」として特別賞を受賞しました。
4820席収容のスタジアムを建設するに当たり、グラウンドの東側に広がる高さ約12mの段地を利用し、スタジアム全体を埋め込むことで、スタジアムが豊かな自然に寄り添い、溶けこむことを目指した作品です。
複雑な形状の建物のデザインと、短工期でプロジェクトを完成させるため、空間構造の形状決定に、ベントレー・システムズの「Generative Components」というパラメトリックデザインツールを用いて様々な形状のデザインを比較し、「最適化手法」などを用いることで安全性と合理性を追求した架構を実現しました。
今年のBe Inspire Awardを受賞したもう1社は、日立GEニュークリア・エナジーです。「プラント3Dモデルに基づく廃止措置エンジニアリングプラットフォームの開発」というテーマで、「発電における革新」部門の最優秀賞を受賞しました。
東日本大震災以降、日本政府は運転開始後40年を経過する原子力発電所の運転を原則停止、廃止措置をとることを決定しました。
原発の廃止措置に伴い、
原発の3Dモデル
や解体工程データ、残存放射能量に基づいて、解体放射性廃棄物の量や作業工数、作業者の被ばく線量を評価するシステムを開発したものです。
現在、福島第一原子力発電所で廃炉作業が着々と行われていますが、放射線量の高い場所での作業は、やはりBIMやCIMで作業方法を検討したり、作業時の被ばく線量などをシミュレーションしたりする必要がありそうです。
今回の受賞は、原発の廃炉作業におけるBIMやCIMの活用を先取りしたものと言えそうです。