管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)のソフトで設計した構造物の鉄筋や鉄骨の納まりをわかりやすくするため、3Dプリンターで模型を作ることもあります。
ただ、これまでの3Dプリンターは不透明な材料で造形するため、構造物の一部をカットして鉄筋を見えるようにするなどの工夫が必要でした。
ところが最近、建設業界ではこうした細工をしなくても、構造物を丸ごと模型にするだけで、詳細な鉄筋や鉄骨、ロックボルトなどの配置が手に取るようにわかる模型が使われ始めています。
コンクリートや土などの部分を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
透明のアクリル樹脂
で造形することにより、コンクリートや土の中に埋まった鉄筋やロックボルトなどを見える化できるのです。
上の模型は、オフィスケイワン(大阪市西区)が、JIPテクノサイエンスのPC橋3Dモデリングシステム「BeCIM」で作成したPCコンポ橋の3Dモデルを使って造形したものです。
造形に使った3Dプリンターは、ストラタシス社の「Objet500 Connex3」という機種で、造形は八十島プロシードに外注しました。
「Objet500 Connex3」は透明や半透明のアクリル系硬質樹脂や、ゴムのような弾力をもったラバーライク樹脂、ABSライク樹脂など複数の材料を同時に使って造形できます。
一般の3Dプリンターは、造形できる最少太さが決まっているため、鉄筋などは縮尺より太めになることがよくあります。その点、「Objet500 Connex3」は透明材料の中に鉄筋を造形するので、鉄筋が線のように細くなっても出力が可能です。
また、PCケーブルは外側の「シース」を半透明の材料で造形し、その中にPCケーブルを造形するようにすると、シースの中を通るPCケーブルリアルに表現できます。
ちなみに造形できるサイズは、490×390×200mmの大きさです。
大林組はこの3Dプリンターを使って、東北地方整備局発注の山岳トンネルの模型を作りました。地山にロックボルトを放射状に打ち込んで施工する「NATM(ナトム)工法」の支保工や吹き付けコンクリート、ロックボルトをリアルに再現しています。
模型全体の大きさは
ナ、ナ、ナ、ナント、
縦300×横350×高さ250mm
もあります。
土木工事やコンクリート工事は、土やコンクリートの中を見える化するのが重要です。そのツールとして、透明材料で造形できる3Dプリンターは重宝しそうですね。