30分で教室大改造!兵庫・仁川学院小でBIMの特別授業を開催
2014年11月10日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3Dの教育分野での活用は大学から高校、中学へと低年齢化が進んできました。

大学の建築学科での設計実習や、中学の家庭科で住宅の仕組みなどを学ぶのに使われています。

そして11月7日、歴史的とも言えるBIM教育が兵庫県西宮市の仁川学院小学校で行われました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

5年生にBIMの授業

 

が行われたのです。

11月7日、仁川学院小学校で開催されたBIMの特別授業(写真:家入龍太。以下同じ)

11月7日、仁川学院小学校で開催されたBIMの特別授業(写真:家入龍太。以下同じ)

同小学校の同窓会は、2007年から毎年2回程度、「未来予想図」という特別授業を開催しています。同小の卒業生が先生となり、職業経験を基にして在校児童に授業を行うというものです。

この日の授業名は「建築設計とはどんな仕事?」というもので、午後1時15分~2時55分までの5、6時間目を使いました。そして先生は同小を1967年に卒業した安井建築設計事務所の代表取締役社長、佐野吉彦さんが務めました。

安井建築設計事務所の佐野吉彦代表取締役社長が先生に

安井建築設計事務所の佐野吉彦代表取締役社長が先生に

5時間目の授業はいつもの教室で建築家とは、どんな仕事をやっているのかを学びました。最初は建築のことにあまり興味がなさそうな子供たちでしたが、大規模商業施設「西宮ガーデンズ」や京セラドーム大阪など、地元にあるおなじみの建物を設計する仕事だと佐野先生が説明すると、だんだん、目が輝いてきました。

そして6時間目はいよいよBIMの実習です。6班に分かれてそれぞれ1台ずつ、ノート型ワークステーション「ZBook」とBIMソフト「Revit」を使い、「教室の大改造計画」をBIMで作ろうというものです。

この授業のために、安井建築設計事務所は約1週間かけて仁川学院小学校の校舎をそっくりBIMモデル化しました。そして授業では同社とオートデスクの社員各3人がBIMソフトの操作を補助しました。

実際の教室

実際の教室

教室のBIMモデル(資料:安井建築設計事務所)

教室のBIMモデル(資料:安井建築設計事務所)

実際の校舎

実際の校舎

校舎も丸ごとBIMモデル化(資料:安井建築設計事務所)

校舎も丸ごとBIMモデル化(資料:安井建築設計事務所)

3階の教室の外側にはテーブルやイス、本棚といった家具類から、ゴーカートやブランコなどの遊び道具までのBIMパーツ(ファミリ)を配置し、好きなものをドラッグ・アンド・ドロップして、教室内に配置して計画を作るものです。

これまでBIMソフトというものさえ知らなかった小学5年生が、わずか30分でこの作業を行い、最後にプレゼンテーションまで行うという計画なので、初めは本当にできるのかと、関係者一同、不安を隠せませんでした。

教室(左側)と用意された家具類のBIMパーツ(右側)

教室(左側)と用意された家具類のBIMパーツ(右側)

ところがゲーム機器などで3Dに慣れた子供たちは、BIMソフトですら簡単に攻略してしまいました。6時間目が始まる前の休み時間からマウスを手に取り、画面の拡大・縮小などを既に始めていたのです。

6時間目に入った後は、それぞれのワークステーション画面を子供たちが食い入るように見つめて、「3、2、1、削除!」とカウントダウンして教室内の机やイスを一斉に撤去したり、「センセー、学校が消えちゃいました」と助けを求めたりと、教室全体が熱狂に包まれました。

ワークステーションの画面を食い入るように見つめる子供たち

ワークステーションの画面を食い入るように見つめる子供たち

アシスタントのお兄さんたちも大活躍

アシスタントのお兄さんたちも大活躍

最後の15分間は、各班のワークステーションを大型モニターにつないでの作品発表です。さすがは子供たち、自由な発想での教室大改造プランが出来上がりました。

「入ったら出られない教室」や「緑や和室を置いた教室」、「教室映画館」などプロの設計者では、なかなか思いつきそうでないアイデアばかりです。

和室を置いた教室の例

和室を置いた教室の例

中には、教室外の屋上にゴーカートやブランコなどを置いて遊園地化する、

 

学校大改造

 

といった大胆なプランまで登場しました。

教室を飛び出し、屋上を遊園地化する改造計画も登場。ブランコとゴーカートが“干渉”することも子供たちは予想した

教室を飛び出し、屋上を遊園地化する改造計画も登場。ブランコとゴーカートが“干渉”することも子供たちは予想した

各班のプレゼンテーションで、子供たちはまるで改造後の教室に行ったかのように、楽しい学校生活について語りました。ある子供は「このゴーカートに乗った人は、ブランコとぶつかるかもしれないスリルを味わえる」と、BIMの4D干渉シミュレーション的なコメントをしていました。やはり、BIMだと子供でも未来が予想できるようですね。

授業の最後に、佐野先生は「BIM」という文字を黒板に書き、「皆さんが今日、使ったのはビーアイエムという最先端のソフトです。将来、建築家になりたい人」と聞きました。すると半数近くの子供が手を挙げました。

最後に「BIM」という文字を黒板に書く佐野先生

最後に「BIM」という文字を黒板に書く佐野先生

BIMの特別授業は、建築家という仕事に子供たちの関心を持ってもらうためにも大成功だったようです。

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