管理人のイエイリです。
今年10月、米国サンフランシスコに本拠を置くグーグル発の建設ベンチャー企業、FLUX社について、2つの記事を当ブログで紹介しました。
1つは建築や都市計画などの法規制を3Dモデルと連携させて建築可能な“鳥かご”をクリック一つで作成できる「Flux Metro」を開発したという話、もう1つは“ウルトラBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)”とも言うべき、建物の意匠、構造、設備を内蔵した「建物の種」による自動設計手法を開発中という話です。
先週の12月5日(現地時間)、私は
ナ、ナ、ナ、ナント、
FLUX社に直撃取材
してきたのです。
サンフランシスコ市内にある社屋は倉庫を改造したものですが、建築出身のスタッフがガラス張りの会議室やグーグルの社員食堂を思わせるキッチンスペースなど、快適な2階建て空間に仕上げています。
ここに23~24人のスタッフが簡素な机を構えて、システムの開発作業に取り組んでいます。スタッフの平均年齢は20代後半と思われました。
同社CEO(最高経営責任者)のニコラス・チム氏は、「建設業界を段階的に改善するのではなく、画期的な変革をもたらしたいというのがFLUX社設立の動機だった」と語ります。
3D鳥かごを作る「Flux Metro」は現在、テキサス州オースチンを題材にしてベータ版として公開していますが、当面は他の都市にも水平展開することに力を入れ、2015年の後半にも正式に事業サービスを開始したいとのことです。
また、建物の設計を自動化する「建物の種」システムについては、まだ名前も決まっていないとのこと。
デモンストレーションでは意匠のほか構造や設備もついていたので、さぞかし「LOD(Level of Detail)」も細かいのではと想像していたら、「建物の環境性能を高めるための検討用なのでLODは非常に粗い」(チム氏)とのことでした。
最後に、私が最も気になっていたことについての質問をぶつけました。昨年、サンフランシスコ湾のトレジャーアイランドに係留されていた「グーグル・バージ(Google
Barges)」と呼ばれる謎の台船のことです。
2013年12月9日付の当ブログの記事でもお伝えしましたが、台船の上にプレハブ工法と思われる建物が建っていたので、もしやこれはFlux社の「建物の種」システムに関係して、建設資材の標準化を検討するものでは、と筆者はにらんでいたのです。
返ってきた答えは、
Flux社とは全く関係ない
とのことでした。
筆者としてはFlux社に対する妄想に冷水をぶっかけられた感もありましたが、同社が当面、3D鳥かご作成システムの水平展開を地道に進めながら事業基盤を固めていく方針が確認できたことは有意義でした。
最後にチム氏は「Flux Metroに興味のある日本の自治体があれば、ぜひ、コラボレーションしたいので記事にも書いてほしい」と、筆者に語りました。どこかFlux社と組んで都市計画業務を3Dデータベース化したい自治体はありませんか。