会話が20%増!病院設計を変えた竹中工務店の見える化ツール
2015年1月15日

管理人のイエイリです。

最近の医療現場では、医療サービスが高度化・複雑化することに対応して、医師や看護師だけでなく、薬剤師や臨床検査技師、放射線技師、栄養士、そして事務職員が一体となった「チーム医療」が主流になっています。

そこで重要なのが、チーム医療を担うスタッフ同士で行う、ちょっとした立ち話などのコミュニケーションです。

複数の職種のスタッフが病院内をどのように動き回り、どこで顔を合わすのかは、建物ができてからでないとなかなかわかりません。

そこで、竹中工務店は病院の設計段階で、いつ、どこで、だれとだれが出会い、どの程度のコミュニケーションが生まれるのかを、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

動画で見える化する

 

ツールを開発したのです。

設計段階での立ち話の発生を動画で見える化するツール。赤丸の場所がインフォーマルなコミュニケーションの発生場所(以下の資料:竹中工務店)

設計段階での立ち話の発生を動画で見える化するツール。赤丸の場所がインフォーマルなコミュニケーションの発生場所(以下の資料:竹中工務店)

まず、医師や看護婦などのスタッフに診察や処置、会議など1日のスケジュールをアンケート調査し、個々のスタッフの行動パターンを把握します。

そして竹中工務店がこれまでの医療施設の計画で培ってきたノウハウを加味し、医療スタッフの行動特性データを作成します。

行動特性データと、病棟の設計プランなどの情報を組み合わせてシミュレーションを行い、コミュニケーションの発生状況を動画で表示するものです。

シミュレーションには、個々のスタッフが自律的に行動し、相互作用を分析する「マルチエージェントシミュレーション」という手法を用いています。

この見える化ツールは、新潟県長岡市にある立川綜合病院の移転新築に導入されました。その結果、病院の設計が変わりました。

スタッフのコミュニケーションを促進するために、4つの病棟の中心に

 

スタッフベース

 

という新しい空間を設けることになったのです。

スタッフベースの平面図(左)と断面図(右)

スタッフベースの平面図(左)と断面図(右)

スタッフベースは、医療の最前線から少し離れたリラックスできる場所にあり、打ち合わせや休憩などでスタッフが集まるスペースです。

クローズドカンファレンス、オープンカンファレンス、吹き抜け、階段が一体で配置されており、フロアを超えて複数の病棟間でスタッフ同士のインフォーマルなコミュニケーションができるようになっています。

その結果、スタッフ間のコミュニケーション量が約20%増加させられることが確認されました。

知的な仕事は、建物の設計で生産性や成果が変わる時代になってきたようですね。竹中工務店はこのツールを今後、オフィスや工場などの設計にも活用していくそうです。

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