バーチャル見学できる!旧逓信省の歴史的建物をBIMモデル化
2015年2月16日

管理人のイエイリです。

都市再開発などでは、昔の由緒ある建物を保存するか、解体するかで悩む場面が多々あります。

こうした問題を解決する手段として、建築設計で使われている3次元設計手法、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)がついに登場しました。

山口県下関市に唐戸地区にある1924年竣工の旧逓信省下関電信局電話課庁舎(現・田中絹代ぶんか館)の建物が、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

内部までBIMで完全再現

 

され、2月14日からインターネットでの公開が始まったのです。

インターネットで公開されたBIMモデルの外観(以下の資料・資料:特記以外はオートデスク)

インターネットで公開されたBIMモデルの外観(以下の資料・資料:特記以外はオートデスク)

BIMモデルの内部

BIMモデルの内部

これは庁舎建物の竣工90周年と、田中絹代ぶんか館オープン5周年を記念してオートデスクが下関市、下関文化振興財団、NTTファシリティーズ、トプコンととともに2014年5月から進めてきたプロジェクトです。

その手順はまず、建物を内側と外側のいろいろな場所からトプコンの最新型3Dレーザースキャナー「GLS-2000」で計測し、点群データ化します。

3Dレーザースキャナーによる建物外部の計測

3Dレーザースキャナーによる建物外部の計測

建物内部の計測

建物内部の計測

次に複数の場所で計測した点群を1つにまとめる「レジストレーション」という作業をトプコンの「ScanMaster」というソフトで行います。

点群を一体化する作業では、通常、ターゲットなどで位置合わせを行いますが、今回は点群計測位置を事前に高精度計測し、その位置情報をもとにレジストレーションしたため、数ミリという高い精度でできました。

そのデータをオートデスクの点群処理ソフト「ReCap Pro」に読み込んで、周囲の電柱や電線などの不要なデータを削除します。

そしてBIMソフト「Revit」にこの点群データを読み込んで、立体的にトレース。BIMモデルが完成というわけです。

Revitにより点群を立体的にトレースしてBIMモデルを作成

Revitにより点群を立体的にトレースしてBIMモデルを作成

出来上がったBIMモデルはレンダリングをかけるとホンモノと見まがうほどのリアルさです。

そのため、館内で行われる展示会をBIMモデル上で再現して、展示品の配置や文字の大きさを確認できるほか、防犯カメラの視角なども検討できます。

BIMモデル上でバーチャル再現した展示会の例

BIMモデル上でバーチャル再現した展示会の例

防犯カメラの視角をバーチャルに検討した例

防犯カメラの視角をバーチャルに検討した例

このBIMモデルは、田中絹代ぶんか館で3月29日まで開催中の「時を超えゆく“たてもの”の物語」という特別展の一環として、インターネット上で公開されています。

ユーザー自らがマウスなどを操作して、

 

庁舎内外をウオークスルー

 

できるので、まるで庁舎を訪れたような気分になれます。

(注:2月16日の朝現在、インターネット公開は調整中とのことでした)

インターネット上で庁舎内をウオークスルーできる

インターネット上で庁舎内をウオークスルーできる

こうして実際の建物をバーチャルに見られると、身体にハンディーのある来館者が自分の障がい度に応じて、「車いすで通れるか」「手すりは適切な位置にあるか」などを事前に検討するのにも使えます。

こうしたBIMモデルが残っていれば、仮に将来、この建物が解体されることになっても、いつでも昔の建物にタイムスリップして懐かしんだり、調査したりすることが可能です。

BIMを導入している建築設計事務所や建設会社にとっても、建物のBIMモデル保存は新しいビジネスチャンスになるかもしれませんね。

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