管理人のイエイリです。
東日本大震災による外部電源が失われたことにより、2011年3月12日に東京電力福島第一原子力発電所の1号機が水素爆発を起こしてから、今日で丸4年となります。
日本だけでなく、世界中を震え上がらせた原発事故の現場を3月9日、「Yahoo!ニュース個人」のオーサーの一人として訪れました。
事故当時、定期点検で運転を休止していた4号機はメルトダウン(炉心溶融)を免れました。3号機からの水素流入で爆発したものの、2013年11月には建屋上部に100tクレーンを内蔵した建屋カバーが設けられ、2014年12月22日に使用済み燃料プールからの燃料取り出しが完了。ひとまず安心な状態になりました。
各号機の格納容器内の温度は約15~21℃(3月2日現在)と、“冷温停止状態”で落ち着いているようです。
これからの課題は、メルトダウンを起こした1号機~3号機の使用済み燃料棒の取り出しと、メルトダウンして原子炉格納容器の底に溶け落ちた「燃料デブリ」をどう取り出すかです。
過酷な状況下にある格納容器の底から、どのようにして燃料デブリを取り出すのか疑問に思って調べたところ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
燃料デブリ取り出し工法
の検討が着々と進んでいることを知ったのです。
資源エネルギー庁から選定された廃炉・汚染水対策事業事務局(事務局:三菱総合研究所)が中心となり、国内外の団体や企業に燃料デブリの取り出し手順や工法、要素技術について検討を行っています。
同事務局では、昨年8月18日、各号機の原子炉格納容器内に水を張り、放射線の影響を最小限に抑えながら作業を進める案を“たたき台”として提示しました。格納容器上部から遠隔操作で燃料デブリの切断や回収を行い、使用済み燃料プールへと運ぶ一連の作業をすべて水中で行う案です。
しかし、格納容器を水で満たしてしまうと荷重も相当なものになり、地震の被害を受けた原子炉建屋への影響もかなり大きくなります。
そこで同事務局は昨年8月27日まで、格納容器に全部に水を張らないで燃料デブリの切断や回収を行う代替案の概念検討と要素技術の実現可能性検討を公募し、のべ11事業者が採択されました。
各事業者の中間報告が今年2月24日に同事務局のウェブサイトで公開されました。採択された事業者の中には清水建設や大成建設、IHI、浜松ホトニクスといった日本企業も目立ちます。
その内容を見ると燃料デブリをレーザー光線で切断する案や、ドリルで切削し集じん機で回収する案、強い放射線に耐えるテレビカメラなどが検討されており、燃料デブリの取り出しはかなり現実的になってきたことがうかがわれます。
2月24日、廃炉・汚染水対策事業事務局のウェブサイトで公表された中間報告●
そして、欠かせないのは
放射線の見える化
です。
燃料デブリの固まりや破片がどこにあるのかは、テレビカメラの映像だけではわかりません。そこでCreate Technologies Limited、Oliver
Crispin Robotics Limitedのグループは、ヘビのように自在に動くスネークアームロボットの先端に、N-Visageガンマカメラというものを取り付けて、燃料デブリの位置を見える化する技術について検討しています。
燃料デブリを実際に取り出す工事は、見える化や遠隔操作ロボット、無人化施工などの最先端技術を集大成した大事業になりそうですね。