管理人のイエイリです。
2011年に発生した東日本大震災では、震源から遠く離れた東京や大阪などでも大きく揺れたビルがありました。
その理由は、約2~20秒というの長い周期を持った「長周期地震動」が、高層ビルの固有周期と一致して共振したためです。
清水建設技術研究所(東京都江東区)がこのほど本格運用を開始した「先端地震防災研究棟」の目玉施設の1つは、こうした長周期地震動を再現できる「大振幅振動台」です。
長周期地震動を水平、上下方向に加えて回転まで再現でき、超高層ビル自体の揺れや室内の家具、地上設備などの挙動を実験する施設です。
さらに、人間が振動台に乗ることで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
CG映像と3D地震動を連動
させた超リアルな地震体験ができるのです。
4m四方のテーブル上に居室を模した専用キャビンを設置し、内部の壁面には家具など室内の様子をCGで投影します。
人がキャビンの中に座り、振動台のスイッチを入れると、振動台の揺れに応じて家具の動きをリアルタイムに解析し、振動とともに揺れたり倒れたりする様子をリアルに体験できるのです。
これは相当な迫力がありそうですね。いちど体験しておくと、いざというときの行動に違いが出そうです。
振動台の最大加速度は水平方向で1.0G、上下方向で0.9G発生でき、最大変位は水平方向に±150cm、上方向に90cm、下方向に70cmと大きく揺らすことができます。
ちなみにこの大振幅振動台はクモのような形と動きから「E-スパイダー(E-Spider)」と呼ばれています。
同研究棟にはもう1台、「E-ビートル(E-Beetle)」という大型振動台が設置されました。カブトムシのような力強さと塊感からこう命名されたそうです。
その実力はあなどれません。というのも、世界中で過去に観測された内陸直下型地震や海溝型地震など、
あらゆる地震を再現
できるからです。
振動テーブルの大きさは7m四方で、再現可能な加速度は水平方向で2.7G、上下方向で2.2Gもあります。また最大変位は水平方向で±80cm、上下方向で±40cmです。
この振動台を使って実験すると、建物が崩壊に至るまでの挙動や、主構造体に天井などの内装・外装、設備まで含めたトータルな耐震性能など、解析ではわからない建物の動きを解明できそうです。
●大型振動台と大振幅振動台のスペック
大型振動台 | 大振幅振動台 | |
名称 | E-Beetle※1 | E-Spider※2 |
テーブル寸法 | 7m×7m | 4m×4m |
最大搭載重量 | 70t | 3t |
最大加速度 | 2.7G(水平)2.2G(上下)※35t搭載時 | 1.0G(水平)0.9G(上下)※3t搭載時 |
最大変位 | ±80cm(水平)±40cm(上下) | ±150cm(水平)+90cm /-70cm(上下) |
メーカー | 米国MTS社 | オランダMOOG社 |