管理人のイエイリです。
ボーイング777や787など最近の旅客機は「フライ・バイ・ワイヤ」という方式で、ラダーやエルロンなどを制御するようになっています。操縦かんの動きを電子化して機内ネットワークに送り、補助翼をアクチュエーターなどで動かすものです。
最近の建設機械には、車両版の「ドライブ・バイ・ワイヤ」という方式で操作する機種が登場しています。
熊谷組はこのほど、重機メーカーのIHI、IHI建機と共同でトラックローダー「CL45」を無人化するシステムの開発に成功しました。
CL45にはドライブ・バイ・ワイヤ方式で制御するための建機内ネットワーク「CAN(Controller Area Network)」が搭載されていますが、このCANを
ナ、ナ、ナ、ナント、
無線LANで操作室に延長
するという新しい方法をとったのです。
従来型の建機を無人化施工用に改造するときは、専用の無線システムを組んで、建機の油圧系統を制御する電磁弁などを後付けする必要があったため、コストと時間がかかっていました。
その点、ドライブ・バイ・ワイヤ方式の建機をベースマシンとして使うと、建機内のCANネットワークと同じものを別に作り、両方のCANネットワークと無線LANをつなぐ“CAN/LANルーター”を設けるだけなので、重機自体の大がかりな改造は必要ありません。
運転席での操作や計器表示などに使われる情報が、遠隔地でそのまま使えるので、現場から数百メートル離れた場所でも、操作感覚は実機に搭乗したときとほとんど変わりません。
今回、使用したトラックローダー「CL45」は、多目的作業車両で小型で機動性が高いのが特徴です。雲仙普賢岳の無人化施工適用現場「赤松谷川11号床固工工事」で使われています。
先端のアタッチメントを交換すると、フォークリフトやドーザショベルなど
様々な建機に早変わり
できるのが特徴で、雲仙普賢岳の現場では移動カメラ車や清掃車として活躍しているそうです。
また、アタッチメントを放射線計測システムに変えると、原発事故の復旧作業にも使えそうですね。
今後、ドライブ・バイ・ワイヤ方式の建機が増えると、今回のシステムによってどんどん“無人ロボ化”が促進されそうですね。