管理人のイエイリです。
ハワイのパールハーバーにあるアリゾナ記念館は、1941年12月8日(日本時間)の日本軍の真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナをまたぐように建設されています。
当時、士官や水兵、海兵隊員など1177人が乗務しており、うち約900人が今もアリゾナ艦内に眠っています。
米国国立公園局(National Park Service)のスコット・パウロウスキ(Scott Pawlowski)氏と、米国オートデスクのピート・ケルゼイ(Pete
Kelsey)副社長は、先週、米国ヒューストンで開催された「SPAR International 2015」で、
記念館の3Dモデルが完成
したことを発表しました。
水上の記念館と水没しているアリゾナ本体を3D計測し、オートデスクのCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)ソフト、Infraworks上にまとめたものです。
同記念館の3Dモデル作成で難しかったのは何といっても、浅い海中に沈んでいるアリゾナ本体の3D形状を計測することでした。
そこで水中部分の計測には、水中用の3Dレーザースキャナーや高解像度ソナー、水中写真測量の技術をフル活用しました。計測にはダイバーや有人、無人のボートが使われました。
そして水面上の部分は、陸上用の3Dレーザースキャナーで計測し、これらのデータを1つに合体させたのです。
計測作業にはHDR、Sam Hirota, Inc.、Oceanic Imaging Consultants, Inc.、3DatDepth、Shark Marine Technologies, Inc.、 United States Coast Guard、US Navy Mobile Diving Salvage Unit One.も参加しました。
アリゾナからは今も大量の重油が流れ出しています。そしてアリゾナ本体にはサンゴが繁殖しはじめています。これらが周囲の環境やアリゾナの保存にどのような影響を与えるのかを調べることも、今回の調査の目的でした。
講演会場にいた参加者も、アリゾナのリアルな状況を自ら体験することができました。
というのは、3Dモデルを元に作成した
鍋のリアルな模型
が参加者に回覧されたからです。
ずっしりと重い模型の上には、フジツボが付いた鍋がリアルに再現されており、真珠湾攻撃当時の乗組員の生活がしのばれました。
リアルな戦争遺跡をデータ化し、再びリアルな模型として再現することで、戦争の傷跡を誰もが身近に感じられることを実感しました。
会場にいた日本人は私だけでしたが、英霊に対する思いは世界共通だということをこのプロジェクトを通じて感じました。