レーザー距離計でBIM!独DWG互換CADメーカーが低コストシステムを開発
2015年4月16日

管理人のイエイリです。

AutoCADの図面ファイルである「DWG形式」を読み書きできる「JDraf」や「DraftSight」などDWG互換CADのエンジン部分を開発するドイツ・グラバート社(Gräbert)の最高経営責任者(CEO)、ウィルフリード・グラバート(Wilfried Gräbert)さんがこのほど来日しました。

来日したグラバート社CEOのウィルフリード・グラバートさん(写真:特記以外は家入龍太)

来日したグラバート社CEOのウィルフリード・グラバートさん(写真:特記以外は家入龍太)

JDrafなどのプロモーションのため、ユーザー企業を訪問する途中、突撃インタビューをさせていただいたところ、思わぬ新製品を見せてくれたのです。

それは「SiteMaster」というシステムで、既存建物のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

レーザー距離計

 

とタブレット端末を使ってサクサク作ってしまうものなのです。

レーザー距離計とタブレット端末を連携させて既存建物のBIMモデルを作る「SiteMaster」(資料:Gräbert)

レーザー距離計とタブレット端末を連携させて既存建物のBIMモデルを作る「SiteMaster」(資料:Gräbert)

タブレット端末上では作図用のCADソフトが動いており、レーザー距離計で測った寸法をBluetoothで直接、入力できるようになっています。

例えば、平面の壁や床、天井が直角に交わる部屋の場合、携帯式のレーザー距離計で縦、横、高さの3つの寸法を測るだけで部屋の形が作成できるのです。

部屋の寸法を測ってレーザー距離計のボタンを押すと、タブレット端末上のCADに寸法が転送される(資料:Gräbert)

部屋の寸法を測ってレーザー距離計のボタンを押すと、タブレット端末上のCADに寸法が転送される(資料:Gräbert)

これに開口部の窓やドアなどを描き加えるのですが、よく使うものはBIMパーツのような部材が既に用意されているので、それを配置すればスピーディーに作業が進みます。

直角でない壁の場合は、三角形の各辺を計測して作図する要領で図面化できます。

また、レーザー距離計で自動入力した寸法と、人間が手入力した寸法は別々のレイヤーで管理されるため、図面でおかしなところが合った場合のチェックも簡単です。

そしてできあがったBIMモデルは、BIMモデルのデータ交換標準である「IFC形式」を使ってRevitやArchiCADなどのBIMソフトに読み込み、設計に活用することが可能です。

できあがったBIMモデル(資料:Gräbert)

できあがったBIMモデル(資料:Gräbert)

 IFC形式によってBIMソフトにデータを渡すことができる(資料:Gräbert)

IFC形式によってBIMソフトにデータを渡すことができる(資料:Gräbert)

既存建物のBIMモデルを作るときによく使われるのが3Dレーザースキャナーで計測した点群データですが、点群データには家具などの余計なものが写っている半面、肝心の部屋の角が写っていないこともよくあります。

また、3Dレーザースキャナーや点群データを処理するワークステーションが高価で、作業にも熟練が必要です。

その点、SiteMasterなら1~2日のトレーニングで使えるようになり、

 

数十人の人海戦術

 

で、多くの建物を短時間にBIMモデル化することができるそうです。

既に米国ではバンクオブアメリカが8カ月間で約3000の支店を図面化し、ドイツ・ベルリン市では約1000万m2公共建物を図面化するなど、欧米では数々の実績を積み重ねています。

SiteMasterをデモするグラバートさん

SiteMasterをデモするグラバートさん

グラバート社は、低コストのDWG互換CADだけでなく、出来形BIMモデル作成の分野でも旋風を巻き起こしつつあります。

古い建物の維持管理やFM(ファシリティー・マネジメント)に使うBIMモデルを作るときにも、便利に活用できそうですね。

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