ThermoRenderとSTREAMが連携!ヒートアイランド現象を精密に解析
2015年4月30日

管理人のイエイリです。

4月27日の最高気温は、福島県浪江町で32.0度を記録したほか、北海道・十勝地方の大津で31.9度、釧路地方の中標津で31.0度と、4月の観測史上最高記録を更新しました。これから夏に向かって、日本各地の気温はますます高くなっていくでしょう。

ところで、都市内の気温は、太陽光で熱せられた舗装やビル壁面などの表面温度も影響します。これが都市内での気温が周囲の地域より高くなる「ヒートアイランド現象」の原因となっています。

エーアンドエーではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト「Vectorworks」の3Dモデルデータを使って、建物や地表面の表面温度を計算する「ThermoRender(サーモレンダー)」というソフトを販売しています。

VectorworksのBIMモデル(以下の資料:エーアンドエー)

VectorworksのBIMモデル(以下の資料:エーアンドエー)

BIMモデルをもとに解析した表面温度

BIMモデルをもとに解析した表面温度

このソフトに強力な機能が追加されました。建物や地表面などの表面温度から気流や気温を解析するソフトウェアクレイドルの熱流体(CFD)解析ソフト「STREAM(ストリーム)」と

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

双方向でデータ連携

 

できるようになったのです。

ThermoRenderとSTREAMの双方向データ連携イメージ

ThermoRenderとSTREAMの双方向データ連携イメージ

データ連携のイメージですが、まずは(1)ThermoRenderで「空間の気温・風速一定」の条件で、太陽光によって焼けた建物や地表面の表面温度分布を15分ごとに計算し、「Sファイル」というものに書き出します。

そのデータを(2)STREAMに読み込み、取り込まれた表面温度分布から気流や気温を計算して、その解析データをCSV形式で再びThermoRenderに取り込む、というものです。

つまり、太陽光で焼けた建物や地表面の表面温度によって空気が熱せられると、上昇気流が発生して空間の温度分布も変わる、という結果を(2)で計算し、それを(1)の入力データとして再計算する、ということを繰り返すことで、太陽光と空気の影響を両方考慮した精密なヒートアイランド現象を解析できるというわけです。

実用レベルでは(1)→(2)→(1)の計算を行えば、ほぼ正確な表面温度と気流・気温の結果が得られます。

ThermoRenderだけによる表面温度の解析結果

ThermoRenderだけによる表面温度の解析結果

ThermoRenderとSTREAMの両方を使った表面温度の解析結果

ThermoRenderとSTREAMの両方を使った表面温度の解析結果

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ThermoRenderだけの解析(左)に比べてSTREAMを併用した解析(右)で、表面温度分布はより精密になる

人間が暑さを感じる外界から要素には、空気の温度・湿度・風速と周囲からの放射熱が影響していますが、上記の結果を利用すると、気温・風速・放射熱を考慮した「等価温度」など、

 

人間の体感温度

 

に基づく温度分布をより正確に予測できるようになりそうです。

都市空間のどんな場所に熱がたまりやすく、また冷気が発生するかという新しい議論も、両ソフトの連携によって可能になりそうですね。

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