無人重機が熟練オペ並みに施工!驚くべき鹿島の次世代建設生産システム
2015年5月18日

管理人のイエイリです。

危険な場所などで作業するために、これまでも無人の重機で施工する「無人化施工」という方法が使われてきました。

しかし、その裏にはオペレーターがちゃんといて、モニター画面を見ながら人間の手で重機を操ることは、従来の施工と変わりませんでした。

ところが鹿島がこのほど開発した次世代建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」では、タブレット端末で複数の無人重機に指示を出すと、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

重機が自律的に施工

 

してくれるのです。

 

クワッドアクセルのイメージ(以下の資料、写真:鹿島)

クワッドアクセルのイメージ(以下の資料、写真:鹿島)

 

 

五ケ山ダムでの稼働する自動ブルドーザーと自動振動ローラー

五ケ山ダムでの稼働する自動ブルドーザーと自動振動ローラー

 

クワッドアクセルが導入されたのは、福岡県五ケ山ダムの堤体工事です。この現場ではスランプがゼロの超固練りコンクリートをブルドーザーで敷きならし、振動ローラーで締め固める「RCD工法」を採用しています。

今回、実用化したのは振動ローラーの自動運転です。振動ローラーにはGPSやジャイロ、レーザースキャナーなどの計測機器と制御用のパソコンを搭載しています。

自動化装備を施した振動ローラー

自動化装備を施した振動ローラー

そして振動ローラーは、リアルタイムで自分の位置や姿勢、周辺状況などを計測し、障害物や走路の安全性などを認識します。

そして、自動停止や再開なども含めて、締め固め作業を自律的に行います。

自動的に作業を行うための制御プログラムには、熟練オペレーターの操作データを収集・分析して制御アルゴリズムに取り入れているので、熟練オペレーターと同等の精度で作業を行えます。

五ケ山ダムの現場では、1人のオペレーターが2台の自動ローラーの操作を行い、直線走行や切り返し走行を行った結果、走行ルートの誤差が±10cm以下に収まっていることが確認されました。

五ケ山ダムでの稼働状況。走行ルートの誤差は±10cm以下に収まった

五ケ山ダムでの稼働状況。走行ルートの誤差は±10cm以下に収まった

さらに鹿島は、コマツと共同開発した自動ブルドーザーを使い

 

RDCコンクリートのまき出し

 

作業を自動化することにも成功しました。

自動ブルドーザーのシステム構成

自動ブルドーザーのシステム構成

自動ブルドーザーによるRCDコンクリートの自動まき出し

自動ブルドーザーによるRCDコンクリートの自動まき出し

コマツのICTブルドーザー「D61PXi」に自動化機器や装置を搭載したものです。ブルドーザーは走行経路やブレード(排土板)の高さによって材料の広がり形状が違うなど、複雑な要因があります。

そこで、熟練オペレーターの操作データをもとに、材料の広がりを予測するシミュレーターを開発し、まずは土砂を使ったまき出し作業に使えることを確認。

その後、RCDコンクリートを使って実証実験を行った結果、熟練オペレーターと同等の精度で作業できることがわかりました。

鹿島は既に、東京電力福島第一原子力発電所の解体工事で、がれきの搬送用に自動搬送システムを開発、実用化しています。

今回のシステムに名付けられた「クワッドアクセル」の「クワッド」とは、「4」を意味します。

フィギュアスケート界でも「トリプルアクセル」や「4回転ジャンプ」が最高レベルです。

これらを上回る「クワッドアクセル」という名前には、4D技術を駆使して道の世界に挑もうという、鹿島の技術陣の心意気が感じられるような気がしてなりません。

鹿島の土木現場の未来はどうなるのか、大変、楽しみですね。

 

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