世界初!台湾・高雄で“全線架線レス”の路面電車を建設中
2015年5月7日

管理人のイエイリです。

台湾第2の都市、高雄で市内をぐるりと囲むように走るライトレール(路面電車)の建設が進んでいます。全長22.1kmのうち、80%はレールをはさむように緑化されるなど、環境に配慮された設計になっています。

うち、海側を走る8.7kmの第1期工事区間は現在、急ピッチで工事を行っており、2015年末に開業する予定です。

 

高雄で建設中のライトレール路線図。緑色の区間が第1期工事(資料:高雄市政府)

高雄で建設中のライトレール路線図。緑色の区間が第1期工事(資料:高雄市政府)

 

使われるレールは脱線しにくい溝付きレール(特記以外の写真:家入龍太)

使われるレールは脱線しにくい溝付きレール(特記以外の写真:家入龍太)

レールの周辺に施された緑化(写真:BIM 工程資訊模擬與管理研究中心)

レールの周辺に施された緑化(写真:BIM 工程資訊模擬與管理研究中心)

このライトレールには大きな特徴があります。電力で走る電車にもかかわらず、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

駅間には架線がない

 

のです。

完成した駅で試験中の車両。線路上には架線が見当たらない

完成した駅で試験中の車両。線路上には架線が見当たらない

その秘密は、車両に搭載された「キャパシタ」という充電装置にあります。実は、各駅には車両の停車スペースの上にごく短い架線が取り付けてあり、停車中にパンタグラフを上げて架線に接触させます。

そして停車中の20~25秒という短時間でキャパシタに充電し、次の駅まで走行する電力を車両に蓄えるという仕組みです。充電が終わったら、またパンタグラフを下げて走行します。

また、走行中にブレーキをかけるとモーターが発電し、その電力をキャパシタに充電できるようになっているので省エネにも貢献します。

各駅にはごく短い架線が設置してあり、停車中にパンタグラフを上げて車両のキャパシタに充電する

各駅にはごく短い架線が設置してあり、停車中にパンタグラフを上げて車両のキャパシタに充電する

高雄市政府によると、一部区間で架線レスにしたライトレールの例はありますが、全線にわたって架線がない路面電車は

 

世界でも初めて

 

とのことです。

高雄国際空港につながる地下鉄との乗換駅「前鎮之星(C3)」。台湾先住民の中で最大の人口を持つアミ族の民族衣装に使われる赤、黒、オレンジのカラーでデザインされている

高雄国際空港につながる地下鉄との乗換駅「前鎮之星(C3)」。台湾先住民の中で最大の人口を持つアミ族の民族衣装に使われる赤、黒、オレンジのカラーでデザインされている

前鎮之星駅をまたぐ歩道橋とエレベーターのデザイン

前鎮之星駅をまたぐ歩道橋とエレベーターのデザイン

今回のライトレール取材には、高雄市政府捷運工程局や国立高雄応用科技大学のBIM研究センター(BIM 工程資訊模擬與管理研究中心)の全面協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

高雄市政府捷運工程局のあるビル

高雄市政府捷運工程局のあるビル

取材協力をいただいた皆さん。左から2番目が高雄市政府捷運工程局のチーフエンジニア、シ・メイメイ氏

取材協力をいただいた皆さん。左から2番目が高雄市政府捷運工程局のチーフエンジニア、シ・メイメイ氏

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