風洞実験をデジタル化!大林組技研がNECのパワフルなスパコンを導入
2015年5月29日

管理人のイエイリです。

インターネットの普及で、大きな計算をクラウド上の大型計算機で行うことも容易にできるようになってきました。

その一方、クラウド上にある公共研究機関や民間のコンピューターは大きな計算をしようとすると、利用時期に制約が多いことも課題です。

大林組技術研究所(東京都清瀬市)は、社外のコンピューターを利用する制約をなくすため、このほど自社のコンピューターを更新し、NEC製のベクトル型スーパーコンピューター「SX-ACE」を導入しました。

NEC製のベクトル型スーパーコンピューター「SX-ACE」(特記以外の写真、資料:大林組)

NEC製のベクトル型スーパーコンピューター「SX-ACE」(特記以外の写真、資料:大林組)

スパコンを導入した大林組技術研究所(写真:家入龍太)

スパコンを導入した大林組技術研究所(写真:家入龍太)

その性能は32ノード、最大性能8.21テラフロップと、従来、使っていたNEC製の「SX-8R」に比べて性能やメモリー容量は約32倍と、世界トップクラスの演算能力とメモリー性能を誇ります。

にもかかわらず、設置面積は従来機種に比べて5分の1、消費電力にいたっては

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

10分の1

 

と、超エコロジカルなスパコンなのです。

大林組は、いったい、このスパコンで何を解決しようとしているのでしょうか。その一つは、自然災害リスクに対応するための高精度なシミュレーションです。

例えば南海トラフ地震などの巨大地震では、長周期地震動が発生します。この地震動が建物に与える影響を評価するためには、震源を中心とした広い地域に対して、大量の地震波を総合的に評価する高解像度のシミュレーションが必要となります。

今回、導入したスパコンによってこれらの解析が自社で可能になるため、巨大地震発生時の既存建物の健全度評価や耐震補強工事の提案に迅速に対応できます。

南海トラフ地震発生時の地震動予測

南海トラフ地震発生時の地震動予測

もう一つ、想定されている用途は風洞実験のデジタル化です。

建物などに作用する風荷重評価を、360度全風向に対してシミュレーションするためには、これまでのスパコンでは数カ月も要していたため、風洞実験に頼らざるを得ませんでした。

ところが風洞実験を行うとなると、逆に模型を製作する時間や実験の手間、コストがかかってきます。

今回、導入したスパコンを使うと数カ月かかっていた計算が約2週間で行えるため、従来は風洞実験を行っていた課題を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

デジタルな風洞実験

 

で置き換えられるようになります。

高層集合住宅に作用する風力の評価

高層集合住宅に作用する風力の評価

このほか、最近、被害の多い竜巻やダウンバーストなどの気象現象を工学的なモデルに置き換えて再現することで、突風が建物に与える影響の評価を行うことができます。

大林組はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用に力を入れていますので、BIM/CIMとの連携にも注目したいですね。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »