紙からiPadへ!大林組とMetaMoJiが電子野帳「eYACHO」を開発
2015年6月19日

管理人のイエイリです。

工事現場などで起こる様々な「事実」を文章や表、図などでその場で記録できる「野帳」は、現場で仕事をする技術者にとって必携のツールと言えるでしょう。

胸ポケットに1つあれば、記録が必要になった時にさっと取り出し、ハードカバーを下敷きとして使いながらスピーディーに記録できる機動力は、捨てがたい実用性があります。

野帳の記録イメージ。定型的な表や自由なイラストなどを機動的に書き込める(資料:大林組)

野帳の記録イメージ。定型的な表や自由なイラストなどを機動的に書き込める(資料:大林組)

その一方、大林組は2012年8月から国内外の現場で働く施工管理技術者にタブレット端末の「iPad」の導入を進め、その台数は今年5月末で5300台にも達しています。

大林組の現場。腰にiPadを下げている施工管理技術者が目立ちます(資料:大林組)

大林組の現場。腰にiPadを下げている施工管理技術者が目立ちます(資料:大林組)

そこで大林組は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

iPadで動く野帳アプリ

 

eYACHO(イー・ヤチョウ)」をMetaMoJi(東京都港区)と共同開発し、昨日(6月18日)、記者発表したのです。

 20150619-image01  20150619-image02
iPad用の電子野帳「eYACHO」の画面。定型的な表や自由な図をさっと入力することができる(資料:MetaMoJi)

野帳を電子化する上でこだわったのは、出面管理の表や数量表などの「定型的な情報」と、メモ書きやイラストなどの「自由な情報」を両立して記録できるようにすることでした。

そこで手書きによる自由な使いやすさと、表計算や写真などによる記録機能など、高度な機能を持つデジタルノート「MetaMoJi Note」の技術をベースとして、大林組の現場で使われている現場巡視記録など実用的な施工管理用テンプレートや出面表、黒板、看板などのコンテンツを統合して「eYACHO」が誕生しました。

現場で起こる様々な「真実の瞬間」を逃さないようにするため、入力は紙の野帳と同じく手書きで行いやすくしました。

そこでMetaMoJiが開発した日本語手書き変換ツール「mazec」の技術を使って現場用語を簡単に入力できるようにカスタマイズしました。

例えば、「かん」と2文字を入力しただけで、「換気口」や「完成工事費」、「貫通割れ」などの用語が上位に表示され、これらを選んでいくとスピーディーに現場最前線で入力が行えます。

また、手書きでは面倒くさい漢字を含む用語の場合は、漢字とひらがなを混ぜて、かなりのなぐり書きを行っても、ちゃんとした漢字変換してくれます。

「かん」と手書き入力すると数々の現場用語が現れる(資料:MetaMoJi)

「かん」と手書き入力すると数々の現場用語が現れる(資料:MetaMoJi)

かなりのなぐり書きでもちゃんと漢字変換してくれる(写真:家入龍太)

かなりのなぐり書きでもちゃんと漢字変換してくれる(写真:家入龍太)

このほか、その場で撮った写真を野帳に張り付け、手書き文字で説明を加えることもできます。

 

eYACHOのデモ画面をスクリーンに映したもの。私の取材現場もしっかり写真で記録され、その場で説明が書き加えられてしまった(写真:家入龍太)

eYACHOのデモ画面をスクリーンに映したもの。私の取材現場もしっかり写真で記録され、その場で説明が書き加えられてしまった(写真:家入龍太)

電子野帳ならではの機能としては、メモや写真などを記録したとき、その日の日付がデフォルトで入力されることです。これは後から変更することもできます。

メモにはデフォルトでその日の日付が入力され、後から検索することができる(資料:MetaMoJi)

メモにはデフォルトでその日の日付が入力され、後から検索することができる(資料:MetaMoJi)

そして打ち合わせメモや写真などは「タグ」を付けて他の場所からリンクを張ったり、

 

TODOリストに変換

 

したりすることもできるのです。

画像や手書きメモを「TODO」化し、検索する機能

画像や手書きメモを「TODO」化し、検索する機能

日付というのは、建設業にとって重要な手がかりとなる情報です。情報をページ管理するだけでなく、日付で管理しておくと、後から探しやすいですね。

また、メモをいちいちとっていられないときには、録音のクリップを野帳に張り付けておき、簡単な説明書きを加えることで、後から確認することもできます。

「eYACHO」は既に大林組の現場で活用中で、今年7月に発売されます。気になるお値段は1ライセンス月額300円からの予定です。

6月18日から無料のベータ版が公開されていますので、iPadを現場でお持ちの方は試してみてはいかがでしょうか。

「eYACHO」の開発について、MetaMoJi本社に取材にうかがったとき、ナント、あのジャストシステムの創業者としても有名なMetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣さんと同・代表取締役専務の浮川初子さんが同席されたのにはビックリしました。

「eYACHO」の開発にかかわった大林組とMetaMoJiのメンバー。左から2人目がMetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣さん、4人目が同・代表取締役専務の浮川初子さん(写真:家入龍太)

「eYACHO」の開発にかかわった大林組とMetaMoJiのメンバー。左から2人目がMetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣さん、4人目が同・代表取締役専務の浮川初子さん(写真:家入龍太)

かつてはパソコンソフトの開発で名をはせたお二人ですが、今はタブレット端末というツールを生かし、パソコンでは不可能だったシステム開発に情熱を傾けておられる姿に、感動しました。

これからも、タブレット端末の特性を生かした現場ならではのツールがMetaMoJiから登場することを期待したいですね。

(訂正)初出の原稿で「ビデオ動画のクリップも張り付けられる」と表記しましたが、誤りでした。訂正いたします。

(Visited 22 times, 2 visits today)

Translate »