管理人のイエイリです。
大林組は国土交通省が進めるCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の試行工事とは別に、自社独自でCIMの現場活用を進めています。
トンネル工事におけるCIM活用の“原点”とも言えるのが、今年3月に和歌山県で竣工した近畿自動車道紀勢線の見草トンネルです。
同社はこの工事で作成したCIMデータ一式を、発注者の国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所に
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本で初めて電子納品
していたことが明らかになりました。
CIMデータの電子納品については、特に特記仕様書や契約書には盛り込まれていませんでした。しかし、今後の維持管理に活用してもらおうと、同社が自主的に納品したのです。もちろん、公式なCIMデータの電子納品基準はまだありません。
今回、納品したCIMデータは、トンネルの3Dモデルに切羽写真や覆工コンクリートの品質管理データ、完成図、施工時の工事写真などをリンクしたものになっています。
従来は図面を片手に、様々な資料を参照していたデータを3Dモデルにひも付けしたことで、素早く探し出せるようになりました。
切羽写真などは3Dモデル上に並べて表示することで、地層の構造なども立体的にわかりやすくなりました。
3DモデルはオートデスクのNavisworksの形式とし、無料のビューワー「Navisworks Freedom 2014」で見られるようにしました。データの合計容量は約4.1GBで、1枚のDVDに納められています。
いったい、CIMモデルにどのようなデータや資料がひも付けされているのかを見てみましょう。
同社ではトンネルが竣工後、パシフィックコンサルタンツのトンネル点検車両「MIMM-R」でトンネル内面の3D計測や覆工の写真撮影を行いました。
そのときに撮影した覆工写真も、施工管理を行った単位に分割して、3Dモデルにリンクされています。
CIMモデルは、このようにわかりやすいものですが、現在、業務で使われているパソコンだと動作が重かったり、3Dモデル自体になじみがない人にとっては使いにくかったりすることもあります。
こうした事情を考慮して、CIMモデルにリンクされた情報は
Excelシートにもリンク
し、Excelの画面からもこれらの情報に簡単にアクセスできるようにしました。
トンネル竣工直後のデータは、経年劣化の度合いを判断するための基準となる貴重なデータです。今後の維持管理に、ぜひ有効活用していきたいですね。