DVDの中身はこれだ!大林組が見草トンネル工事で日本初のCIM電子納品
2015年7月30日

管理人のイエイリです。

大林組は国土交通省が進めるCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の試行工事とは別に、自社独自でCIMの現場活用を進めています。

トンネル工事におけるCIM活用の“原点”とも言えるのが、今年3月に和歌山県で竣工した近畿自動車道紀勢線の見草トンネルです。

同社はこの工事で作成したCIMデータ一式を、発注者の国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所に

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

日本で初めて電子納品

 

していたことが明らかになりました。

見草トンネルのCIMデータイメージ。トンネルの3Dモデルに施工管理時の計測結果や写真などがリンクされている(以下の資料:特記以外は大林組)

見草トンネルのCIMデータイメージ。トンネルの3Dモデルに施工管理時の計測結果や写真などがリンクされている(以下の資料:特記以外は大林組)

発注者に提出したCIMデータのフォルダ構成

発注者に提出したCIMデータのフォルダ構成

発注者に提出したCIMデータの属性情報

発注者に提出したCIMデータの属性情報

CIMデータの電子納品については、特に特記仕様書や契約書には盛り込まれていませんでした。しかし、今後の維持管理に活用してもらおうと、同社が自主的に納品したのです。もちろん、公式なCIMデータの電子納品基準はまだありません。

今回、納品したCIMデータは、トンネルの3Dモデルに切羽写真や覆工コンクリートの品質管理データ、完成図、施工時の工事写真などをリンクしたものになっています。

従来は図面を片手に、様々な資料を参照していたデータを3Dモデルにひも付けしたことで、素早く探し出せるようになりました。

切羽写真などは3Dモデル上に並べて表示することで、地層の構造なども立体的にわかりやすくなりました。

3DモデルはオートデスクのNavisworksの形式とし、無料のビューワー「Navisworks Freedom 2014」で見られるようにしました。データの合計容量は約4.1GBで、1枚のDVDに納められています。

いったい、CIMモデルにどのようなデータや資料がひも付けされているのかを見てみましょう。

3Dモデル上に並べた切羽写真

3Dモデル上に並べた切羽写真

トンネル周辺の精緻な地層

トンネル周辺の精緻な地層

3Dモデル上に示した変位などのデータ

3Dモデル上に示した変位などのデータ

3Dモデルからリンクされた土質柱状図

3Dモデルからリンクされた土質柱状図

ボーリングサンプルの写真も収録

ボーリングサンプルの写真も収録

3Dモデルからリンクされた支保パターン図

3Dモデルからリンクされた支保パターン図

ひび割れ展開図などを表示した施工品質管理情報

ひび割れ展開図などを表示した施工品質管理情報

舗装工事などの工事写真

舗装工事などの工事写真

同社ではトンネルが竣工後、パシフィックコンサルタンツのトンネル点検車両「MIMM-R」でトンネル内面の3D計測や覆工の写真撮影を行いました。

そのときに撮影した覆工写真も、施工管理を行った単位に分割して、3Dモデルにリンクされています。

MIMM-Rによる竣工後の計測作業

MIMM-Rによる竣工後の計測作業

トンネル覆工の高精細写真

トンネル覆工の高精細写真

CIMモデルは、このようにわかりやすいものですが、現在、業務で使われているパソコンだと動作が重かったり、3Dモデル自体になじみがない人にとっては使いにくかったりすることもあります。

こうした事情を考慮して、CIMモデルにリンクされた情報は

 

Excelシートにもリンク

 

し、Excelの画面からもこれらの情報に簡単にアクセスできるようにしました。

3Dが使いづらい人のために、Excelシートからもデータにアクセスできるようにした

3Dが使いづらい人のために、Excelシートからもデータにアクセスできるようにした

日本初のCIM電子納品を行った大林組土木本部本部長室情報企画課長の杉浦伸哉さん(右)と、情報企画課主任の後藤直美さん(左)(写真:家入龍太)

日本初のCIM電子納品を行った大林組土木本部本部長室情報企画課長の杉浦伸哉さん(右)と、情報企画課主任の後藤直美さん(左)(写真:家入龍太)

トンネル竣工直後のデータは、経年劣化の度合いを判断するための基準となる貴重なデータです。今後の維持管理に、ぜひ有効活用していきたいですね。

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