管理人のイエイリです。
6月28日から7月8日まで、ドイツのボンで開催された第39会世界遺産委員会で、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界遺産一覧表に記載されることが決まりました。
次の世界遺産候補となるのが、鹿児島県伊佐市にある曽木発電所遺構です。
牛尾大口金山への電源供給を目的として1909年に建設された水力発電所ですが、1966年に鶴田ダムが完成してできた大鶴湖の下に沈んでいます。
そのため年間の3分の2の期間は湖の下に隠れており、初夏から秋の期間だけ遺構の姿が見られます。
そこでトプコンは、この曽木発電所遺構が水面上に姿を現している期間に
ナ、ナ、ナ、ナント、
遺構周辺を3Dスキャン
して、短時間で完ぺきな3Dデータを収集することに成功したのです。
3Dスキャン作業に使用したのは同社の地上型3Dレーザースキャナー「GLS-2000」と、モバイル・マッピング・システム(MMS)の「IP-S3」です。
そしてUAV(無人機)による空撮も行いました。これらの機器によって、遺構の入り口から発電所の建物へと続くアプローチ道路や遺構周辺までを含む広範囲を計測し、広範囲の3Dモデル化に使用しました。
今回の3Dスキャン作業は、世界遺産の登録を推進する一般財団法人産業遺産国民会議と、米国のNPO法人「CyArk(サイアーク)社」のプロジェクトの一環として協力したものです。
CyArkでは世界の500カ所の世界遺産を3Dスキャンし、高精度な
3Dモデルをオンライン公開
する「CyArk 500 チャレンジ」というプロジェクトを行っています。
米国のマウントラッシュモアやオーストラリアのシドニーオペラハウス、カンボジアのアンコールワットに続き、曽木発電所遺構が選定されました。
曽木発電所遺構の3Dモデルも、CyArk社のウェブサイトで早速、公開されています。
今回、曽木発電所遺構の現在の状況を実測値に基づいて3Dデータ化したことにより、今後の維持管理や修復にも利用できる重要なデータができたことになります。
そしてネットを通じて、誰もが好きなときに現地に行って遺構を観察するのと同様な体験ができ、後生にこの遺産を伝承できるようになりました。